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第4話

◆◆◆◆ 温かい何かを腕の中に抱き締めているような感触。 抱き心地良くて……ああっ、みーくんにハリが無くて大きかったらこんな感じかな?なんて思った。 「みーくん……」 天国で幸せにしているかな?好物のバナナとかリンゴ食べ過ぎてなきゃいいな。 「みーくん……」 目頭が熱くなってしまって……そうたなんだ、みーくんを思い出すと未だに泣けてくるのだ。 オッサンがハリネズミを思い出して泣くって……どうかしてる。 そんな風に思っていると目元に何か当たったような気がした。まるで、みーくんが泣くなよって小さい足をペタっとつけたみたいに。 そして、目を開けた。 目を開けて直ぐに固まった……。おおおおお!!!!!なんでえええ!!! シャウトしそうになるのをぐっと堪えた。 温かいものの正体と目元に触れたものの正体が分かったからだ。 しっかりと自分の腕に抱きしめているものの正体は昨夜拾った男の子。 なんで?ベッドで寝てただろ? そして、目元に触れたものは男の子の唇。 平蔵は慌てて起きた。 もちろん、男の子を腕から放した。でも、その瞬間にソファーから落ちそうになったものだから慌てて男の子を抱き締めた。 「ごめん、大丈夫?」 男の子に声をかけるとコクンと頷く。 ボンヤリとした感じで平蔵を見つめる……寝起きというか、凄く色気があって可愛い。 しかも、シャツが乱れている……ボタンが外れて肩が露出。 あれ?昨日寝る時はボタンちゃんと上までしてたよな?まさか……俺……何かした?そもそもベッドに居たはずなのに……。 「なあ……なんでここに居るんだ?ベッドに寝てただろ?あと……俺……何もしてないよな?」 男の子に聞いてみると首を振ったので何もしていないようで安心した。 「ベッドは?」 男の子はトイレの方向を指さした。 あ、もしかしてトイレに起きて戻れなくなった?というか寝ぼけてこっち来たのかな? っていうかこの子……ずっと話さないよな? もしかして……話せない子? 「なあ……お前……あ、名前、名前なんていうんだ?俺は平蔵」 名前を聞いてみると首を振るだけ。 「名前……ないのか?」 そんなわけはないだろうが……もしかして、言えない事情でもあるのだろうか? 「名前ないとなんて呼んでいいか分からないだろ?」 平蔵がそういうと男の子は平蔵の手を取ると手のひらに文字を書いた。 みーくん。 「みーくん?」 男の子は頷く。 「みーくんって呼ばれたいのか?」 何でみーくんなのだろう?「み」が先につく名前なのだろうか? ミサトとかミナミとか……? でも、まあ……みーくんは呼びやすいし、みーくん……また名前を呼べるのは嬉しい。相手は人間だけど。 「じゃあ、みーくんな」 平蔵がそういうと目の前の男の子は凄く可愛くニコッと笑った。 初めて笑った。凄く可愛く。 そんな可愛い雰囲気を平蔵のお腹の虫がぶち壊した。 ぐー……。と響いた。なんせ、昨日は何も食べていない。おでんはこの子に食べさせたので。 「飯くうか?」 すると頷くみーくん。 「あ、その前に風呂だ」 ソファーから降りると風呂場へ連れていく。 「着替え頼んだんだけど、届くまでこれ着てろ」 と自分のシャツとスエットを出す。 下着……新しいのあったはずと見つけてみーくんに渡した。 「風呂は直ぐに入れるよ、沸かしているから、こっちがシャンプーでリンス……で、ボディソープな」 説明しているとクスクス笑うみーくん。 慣れてきたのか昨日の緊張した顔が全くなくニコニコしている。 凄く可愛いのだ。 「なんで笑うんだ?あ、もしかしてリンスとかオッサンが使うのが面白いのか?オッサンでもリンス使うぞ!ちゃんとしないと薄くなるかも知れないだろ?まあ、お前にはまだ分かんないだろうけど」 平蔵はみーくんの頭をグリグリ撫でると風呂場を出た。 ◆◆◆ やべえ、みーくん、凄い可愛い。 風呂場を出て顔が熱くなる。 昨夜は緊張して俯いていたし、直ぐに寝てしまった彼。 朝の明るい光の下でみた彼は凄く可愛くて綺麗だ。 あんなに綺麗な子もいるんだな……とドキドキしてしまったのだった。

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