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第5話

落ち着け平蔵!! 自分に言い聞かす。子供に手を出してはダメな大人確定だ。 ちゃんと法律にもある。 いや、このドキドキは年のせいだ……オッサンだから心臓が弱っているんだ。決して彼にドキドキしたわけではない。 そうなのだ!! って、なんで自分はこんなに自分を年寄りにしてるんだよ?と情けなくなる。 よし!コーヒーを飲んで落ち着こう。 平蔵はコーヒーを飲みながらソファーに座る。 程なくして足音が聞こえてきた。 「上がったか?」 足音が聞こえた方に顔を向けるとみーくんが平蔵の服を着て立っていた。 髪はちゃんと拭いていないので水滴がぽたぽたと落ちている。 「みーくん!おいで風邪を引く」 平蔵はコーヒーを置いて立ち上がるとみーくんの手を引っ張り、洗面所へ戻る。 タオルで髪を拭くとドライヤーをかけてやる。 みーくんは細いが背はけっこうある。 170cmくらいかな?でも、平蔵よりは低い。 彼の髪は柔らかい。 「ほら、乾いたぞ」 鏡越しにみーくんに言うとまた可愛く笑った。 くそ!!! 直視出来なくて平蔵はドライヤーを片付ける。 「腹減ってるだろ」 みーくんを見ないまま、先を歩く。 後ろからついてくる気配になんとなく嬉しくなる自分がいた。 ◆◆◆ 美少年にカップラーメンはどうだろ? でも、頼んだ朝飯が届かないから仕方ない。 食材買ってれば良かったなあと後悔してしまう。 みーくんはちょこんとテーブルについていて、そこだけ花が咲いているようだった。 とりあえず飲み物……。 しまった……酒しかないじゃないか!昨夜買ってれば良かった。 コーヒー飲むかな? 「コーヒー飲めるか?」 と聞いてみると頷いたのでコーヒーを煎れる。 豆の良い匂いにみーくんが平蔵をみた。 「いい匂いするだろ?」 その言葉に頷くみーくん。 本当に喋れないんだな……と思った。 でも、手話みたいのはしないよな? 「なあ、聞いてもいいか?みーくんは喋れないのか?」 聞いて良いかと思ったが好奇心が勝ってしまったので言葉にしてしまった。 みーくんは俯いてしまった。 「あ!違うんだ!傷つけるつもりはないからごめん!!」 平蔵はみーくんの側に行くと頭を下げた。 俯いてきた彼は顔を上げるとニコッと微笑んだ。多分、大丈夫と言いたいのだろう。 これだけで、この子は良い子だと分かる。 「コーヒー待ってろ」 みーくんの頭を撫でた。 コーヒーが出来た頃、チャイムが鳴った。 朝飯か!! みーくんの元へコーヒーを届けると玄関へ行こうとする平蔵の手を彼が掴んだ。 振り向くと何か怖がるような雰囲気。 「あ、大丈夫……俺の友達が飯届けてくれたんだ」 みーくんに言うとホッとした顔で手を離した。

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