6 / 54
第6話
◆◆◆◆
「よお!」
荷物を持ってやってきたのは平蔵の友人の広瀬。
「悪いな」
「いいよ、別に」
広瀬は荷物を持ったまま部屋に上がった。
「……お前、これは犯罪だろ?」
みーくんを見た一言めがこれだった。
「なんだよ犯罪って」
平蔵は広瀬が持ってきた朝飯の袋をテーブルに置く。
中身はサブウェイのサンドイッチだ。
「サンドイッチ食べれるか?」
みーくんに渡そうすると、ぎゅっと腕にしがみついてきた。
広瀬が怖いようだ。
「あれは怖くないぞ?友達の広瀬勘太郎って言って、無害だ」
みーくんに説明をする。
広瀬も怖がっているのが直ぐに分かり、みーくんの前に手を出すとパチンと指を鳴らし、次の瞬間金色のコインを出した。
みーくんはそれを見て少し驚いたように広瀬を見ている。
「ほら、これ、チョコレート。あげるよ」
みーくんの目の前に金色のコインを差し出す。それをおずおずと取るみーくん。
「広瀬は手先が器用なんだよ」
「マジックって言えよ」
2人の会話を聞いて、少し警戒心が解けたのか平蔵から手を離した。
「名前は?」
「みーくん」
広瀬の質問に答えたのは平蔵。
「みーくん?」
ハリネズミの名前だと知っている広瀬は怪訝な顔をした。
「みーくんなの?」
広瀬が確認すると頷くみーくん。
「ほら、みーくん食べなさい!昨日はおでんだけだったろ?」
広瀬が持ってきたサンドイッチを全部みーくんに渡す。すると、みーくんは平蔵の服をくいくい引っ張ってサンドイッチを1つ取り、平蔵に渡そうとする。
「いいんだよ、それはみーくんの分だから」
平蔵はみーくんの頭を撫でる。
「俺はおにぎりとカップラーメンあるからな!これ、好きなんだよ!」
平蔵は笑顔でカップラーメンをみーくんに見せる。
「みーくんも食べた事あるか?」
するとウンウンと頷く。
「そっか!美味しいよな」
それにも頷くみーくん。
ああ!!可愛い!!
ってドキドキが止まらなくなる。
やばい、不整脈かもしれん!!医者に見て貰おう。
みーくんは安心したようにサンドイッチを食べている。
それを見届けて平蔵はキッチンでお湯を沸かしてカップラーメンを作る。
すると、広瀬が側きた。
「あの子訳あり?」
「多分」
小声で会話をする。
「喋れないのか?」
「それは分からない……ただ、警戒して喋れないだけかも知れないし、本当に喋れないのかもだし」
「そっか……でも、あの子未成年だろ?保護者は?」
「まだ、分からない……コンビニの駐車場で座り込んでたんだ……薄着で靴も履いていなかった」
「……なんか、どこからか逃げてきたって感じだな、それだと」
「そうかも……」
チャイムが鳴った時に怯えたみーくんを思い出す。
何かあって逃げてきたのかもしれない。
ともだちにシェアしよう!