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第12話
背中を洗って貰っている間、平蔵は壁の方を向いたまま動かずにいた。
そのまま振り返るとまた裸体が目に入るし、目のやり場に困るし……なんせ、自分もスッポンポン……両手で前を隠すのもなんだか間抜けだし、みーくんは堂々としているのだから、隠すなんてできない……(本当は隠したい)
ゴシゴシしてもらっていて、ふと、気付く……ある部分だけ優しく撫でるように触るのだ。
そのある部分はエッチな場所ではない。
平蔵の肩から背中まである火傷の痕だ。
それに気付きみーくんの方へ顔だけを向けた。
すると、心配そうにそこを撫でている。
昔の傷だし、痛くはないのに……。
「みーくん、そこはもう痛くはないんだよ」
その言葉でみーくんは平蔵を見る。
「子供の頃にね、……もう、随分前だから痛かった事さえ記憶にないんだ、だから大丈夫」
平蔵は微笑む。
みーくんは火傷の痕を指さす。
「うん、痛くないよ?」
安心させるように優しい口調で言うとみーくんはそこに唇をつけて、優しくキスをした。
みみみみみ、みーくん!!!
平蔵は叫びそうになった。
彼の可愛らしい唇が自分の肌に触れた。
キスした後にみーくんはその傷を優しく撫で撫でとして微笑む。
んん?もしかして、何かのおまじないかな?
「何かのおまじない?」
聞いてみると頷くみーくん。
そして、平蔵の手のひらを取ると文字を一文字づつ書く。
ひろせさんにきいた……かばったって。
みーくんが書いた文字を読み取り、ああ、広瀬に聞いて心配したのかとキスの意味を知った。
「広瀬の父親がね……酒を飲むと人が変わってしまってね……幼いアイツはいつも痣作って……ちょうど遊びに行ってた時に酔って帰ってきた親父が広瀬の母親を殴ってね、それをみた広瀬が母ちゃん守る為に体当たりしたんだ……まあ、それで逆上して……火にかけてあったヤカンのお湯をぶちかましやがって……まあ、俺がそれに気付いて広瀬かばって……それで事件になって、広瀬は一時保護されて……まあ、助かったっていうか……ちょ!!みーくん!」
話の途中、みーくんが涙をポロポロと零したので平蔵は慌てた。
「な、泣くな?な?俺も広瀬も大丈夫だったんだから」
平蔵は正面を向き、みーくんの両肩を掴み慰める。
みーくんの濡れた瞳は平蔵を見つめ……いつの間にかみーくんの唇が背中とかではなく平蔵の唇に触れていた。
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