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第13話
温かくてぷにぷにしたやわらかい唇の感触が平蔵の意識に入り込むまで数秒かかった。
不意打ちのキス。
唇が離れて自分を見つめるみーくんを見た時に覚醒した。
みみみみ、みーくんんんん!!!
物凄い大きな声で叫びたいくらいに驚いた。
「な、何、み、みーくんってもしかして外国人?ほ、ほら、外国の人って挨拶でキスするだろ?」
自分でかなりテンパっていると分かった。
何を言っているのだろうと……。
みーくんは平蔵の厚い胸板にガシッと抱きついた。まるでアニメのトト〇で女の子二人がガシッと飛び付くみたいな勢いで。
「だ、ダメだよみーくん!俺達付き合っていないだろ?」
へ、平蔵どーした?何、昭和のメロドラマみたいな事を言っているんだ?と自分に突っ込み。
みーくんは顔を上げると唇を動かす。
何か言いたいみたいで、良く見ようと顔を近付けるとチュッ!!と唇にまたキスされた。
「こ、こら!おじさんをからかうんじゃない!おじさんだって男なんだよ?みーくんみたいな綺麗な子にキ、キスとか裸で抱き着かれると……冷静じゃいられなくなる」
平蔵はみーくんを無理矢理に自分から離す。
「もう、お風呂上がろう」
みーくんは首を振る。
そして、人差し指でまた平蔵の手のひらに文字を書く。
ひとめぼれしたんです
そう読めた。
「ひとめぼれ?誰に?」
聞くともちろん、平蔵を指さすみーくん。
「こんなオッサンにひとめぼれ?オッサンと言っても福山雅治と同じ歳だけど、あっちはオッサンじゃないけど、俺はオッサンだ!彼みたいにカッコ良くはないし、惚れる要素はどこにもない」
するとみーくんはまた、手のひらに『ある』と書く。
「なに?」と聞くとみーくんは手のひらに『こうえんではりねずみとあそんでいたでしょ?』と書いた。
「えっ?」
平蔵は驚いた。
確かにハリネズミのみーくんと公園で遊んだ事がある。
部屋の中だけでは可哀想だと。
「見てたのか?」
みーくんは頷く。
「じゃあ、駐車場からついて来たのは俺を見た事があったからか?」
また、みーくんは頷く。
みーくんは平蔵の手のひらに『へいぞう、こどもみたいにわらってかわいかった』と書いた。
「可愛い?俺が?」
みーくんは頷くと『ふくやまよりかっこいい』とも書いた。
それには平蔵は照れた。
見られていた……公園での自分を。しかも、その姿が可愛いと……。
くしゅん!
みーくんがくしゃみをしたので平蔵は慌ててシャワーをみーくんにかけて温める。すると、みーくんは平蔵に抱き着いてくる。
「こら、みーくん」
ダメだろ!と怒ろうとした平蔵の後頭部に手を持っていくみーくんはそのまま、平蔵を自分の方へ近付かせてキスをした。
3度目のキス。
平蔵はその3度目のキスで保っていたはずの冷静さが切れてしまった。
シャワーを離すとみーくんの背中に腕を回して自分の方へ引き寄せ、抱きしめるとくっつけるだけのキスから深いキスへと変えた。
みーくんの咥内へ舌を侵入させ、舌を絡ませる。
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