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第27話
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平蔵の部屋のチャイムが連打されたように何度も鳴る。
ベッドで眠るみーくんが起きるんじゃないかと平蔵は慌ててインターフォンを確認した。画面に写るのは広瀬。
息を切らしているように見える。
平蔵はドアを開けて広瀬と対面すると「うるさく鳴らすなみーくんが起きるだろ!」と彼をに注意をした。
「その、みーくん……の事だよ!正体が分かった」
「えっ?」
広瀬は走ってしたのか額に汗が滲んでいる。
みーくんの正体……平蔵は広瀬を中へ入れた。
「みーくんは梅野の孫だ」
「えっ!!」
驚く平蔵。
「蓮司親分の?」
「孫が居るって知ってただろ?可愛がって貰ってたから」
「知ってたけど……女の子じゃなかったっけ?小さい頃にしか会った事がない。孫は一緒に住んでいなかったし奥さんがカタギの人だったから近寄りたがらないって寂しそうにしてた」
平蔵は随分昔……会った事があった。
まだ3歳で目が大きくて……髪は肩まであった。
名前……あっ、美月だ。みーくん!!!
そうだ、あの子は自分の事を「みーくん」って呼んでた。
「みーくんねじいじが好きなの」
ニコッと笑ったのを思い出した。
あの子かあ!!嘘だろおおお!!
平蔵はクラりときた。
まさかの可愛がってくれていた人の孫……。
しかも抱いてしまった。
「みーくん、あ、あの子18か」
会ったのは15年前。当時3歳か4歳くらいだった。
「俺……アウトだな……子供を抱いてしまった」
平蔵はまたもや目眩がしそうだった。
「いや、彼は今年19歳になるからセーフだ」
広瀬が真顔で言う。
「いや、真顔で言われると……」
改めてSEXをしてしまった事が脳裏に過ぎり、平蔵は死にそうだった。
「でも、良く分かったな」
「梅組がみーくん探しているんだよ彼が全ての遺産を受け継いだから」
「は?」
「親分亡くなっただろ、お前も葬式行って泣いて帰ってきた」
「う、うるさい!そこ忘れろ!」
「次男が……遺産欲しさにみーくんをどうにかしようとしているから彼は逃げた……そんな理由でコンビニの駐車場で座り込んでいたんだろう、そこを平蔵が通りかかった」
あっ……裸足だったのは急いで逃げたから?
怖がっていたのは……本当に怖い目に合いそうだったから?
平蔵の中でみーくんの行動が全て納得いくものになった。
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