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第34話

みーくんがクスクスと笑ったから二人はホッとする。 「みーくんは平蔵に両親を殺したって言ったのはそういう事だったんだね……でも、みーくん、それは事故だよ?みーくんのせいじゃない」 広瀬はみーくんの頭を撫でる。 みーくんは違うと頭を振るけれど「事故なんだ……悲しい事故。みーくんは本気で死んで欲しいとは思わなかったんだろ?両親に何かあったらって自分から離れた……みーくんは優しい子だよ平蔵が言う通り」 広瀬は優しく微笑み言葉をかけた。 「俺もそうだと思う。みーくんは優しい子……友達の事で傷ついて、両親の事で言葉を封印する優しい子……俺はみーくんの声が聞きたい」 平蔵も優しく微笑む。 みーくんは紙に「平蔵も言葉の通りになっちゃうよ」と書いた。 「ならないよ……みーくんが俺を傷つける事を言うわけがないから」 みーくんは紙に「なる」と書いた。何故なら……平蔵に会った夜に耳元でここに置いてと囁いたから。 そして、まるで暗示のように眠る平蔵に「僕を抱いて」と囁いていたから。 「ええっ!!」 その事実を紙に書かれ平蔵は真っ赤になる。 「みーくん大胆だね……まあ、やるだろうとは思ってたけど……みーくん平蔵のタイプだし?」 「ひひひひ、広瀬ええ!!」 真顔で平蔵が不利になる事を言う広瀬に真っ赤な顔で叫ぶ。 「平蔵は自分の意思で君を置いたと思うし、抱いたと思うよ?」 「広瀬ええ!!」 まだ言うか!と広瀬の肩を掴む。 「だろ?平蔵」 確認されて、頷く平蔵。 「みーくん囁いたのはどっち側?」 突然に変な事を聞かれ左側だと紙に書いた。 「みーくん俺ね……左側、聞こえにくいんだ……大きな声や音なら大丈夫だけど、小さい声や音、囁く声は聞こえないんだよ」 みーくんは驚いた表情を見せた。 「学生時代にねちょっとね……だからみーくんの声は残念ながら聞こえていない……どうせなら右側で名前を囁いてよ」 みーくんはその言葉にポロポロと涙をこぼす。 「な?平蔵の意思だったろ?」 広瀬はみーくんの頭をくしゃくしゃ撫でた。 「なあ、腹減らね?」 広瀬の言葉で食事を作る事になった。 「冷蔵庫みてくる」 平蔵が二人の側を離れるとみーくんは広瀬の腕を引っ張り、紙に「ありがとう」と書く。 「どういたしまして」 ふふと笑う広瀬。 ありがとうの後にごめんなさいと続けて書くみーくん。 「何でごめんなさい?」 不思議そうに聞いてくる広瀬の前で「僕が平蔵を取ったから……広瀬も平蔵好きでしょ?」と書いた。 広瀬は息をのんだ。 そして、みーくんを見て、戸惑ったように頭をかくと「なんだ……みーくんにはバレてたのか」と言った。 みーくんにバレたのはみーくんも平蔵を好きだからだ。 「平蔵には内緒な?」 口元に指を持っていき、内緒のポーズ。 「言わないの?」とみーくんは紙に書く。 「言わない……俺は平蔵の親友でいたいから。平蔵の友達で側にいたい……アイツが困ったら真っ先に助けたい……恩があるから……アイツの耳が聞こえにくくなったのは俺のせいだから」 みーくんは目を大きく見開いて驚く。 「アイツの相棒、アイツの親友……アイツの為ならなんでもできる……」 広瀬は切なく微笑む。その微笑みが凄く痛く感じた。 「みーくん、平蔵をよろしくな」 笑顔でみーくんの頭を撫でる広瀬。 なんて、優しい人なのだろうとみーくんは思う。 平蔵が優しいから優しい人が集まるんだ。平蔵は凄いなあとみーくんは彼の後ろ姿を熱く見つめた。

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