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合格発表→sideY
推薦の合格発表は他のと比べて少しだけ早い。
東流が午前中は実技教習終わって、帰ってからバイクで発表につれていってくれるらしい。
電子なんとかで一応先に知らせはくるのだが、やっぱり実際に掲示板で見てみたほうがいいだろと、東流は提案してくれた。
ひとりで俺には行動はさせないようにと、東流の行動は徹底している。
まあ、買い物とかは誠士もしてくれるし、生活には不便はないんだけど、なんだか監禁されてる気分になる。
監禁はどっちかといえば、されるよりもしたい方なんだけどな。
なかなか、いろいろ東流から聞いてもまったく思い出せないことが多いけど、ふとしたことにデジャブのようなことが起こるのは良くある。
「たでえま、ヤス!をい、合格見にいくぞ!」
低く響く東流の張り声に、俺は肩掛けバックを手にして玄関へ向かう。
落ちることは考えていないセリフに、思わず俺は少し笑う。なんでこいつはいつも自分のこと以外にも、こんなに自信にあふれてんだろうか。
「トール、用意はできてるけど、オマエは飯は食わないで大丈夫?」
「大丈夫だ。待っててくれてアリガトな。来週には卒検通るし、後で中型も大型もとりにいくけどさ」
そしたら、卒業までにドライブしようぜ、ヤスの車で。と、言われて俺は頷く。
「本試験は大丈夫か?」
「教材、丸暗記してけばなんとかいけるだろ」
東流の暗記力は、かなり良いのは知っている。
喧嘩のとき並んでいるバイクのナンバーは5分程度で全部覚えるくらいだ。
考える系の問題じゃなければ、東流はある程度点数はとれる。
靴を履き部屋の鍵を閉めると、東流の背中について階段を降りていく。
メットを渡されて、階下からひょいっと見上げられる。
「あー。合格祝、何がいい?」
細めた目で笑われて、かわいすぎて今すぐにでも抱きしめたい衝動にかられる。
「駅前のエロイホテルにいきたいな」
駅前のコンセプトホテルで、SM部屋とかあるところに前からいってみたいと思っていた。
ブハッと東流は腹を抱えてしばらく笑い、ちょっと半笑いのままイイゼと言って頷いた。
すでに発表板の前は人がらまばらになっている。もう発表から時間たっているし、もともと推薦入試なので、一般よりは人が少ない。
俺の番号は、探す手間もなくすぐにさっくりと見つかった。
家からバイクで、20分程度の通いやすい公立だ。
東流となるだけ離れたくないと考えて決めたのでだろう。
「うおー、ヤス!!合格オメデトー!!」
東流は番号を見つけて、俺より激しく浮かれて俺の腰をもって姫抱きに持ち上げて、ひょいっと上に投げる。
て、やめろー!!
しっかりキャッチされて、もう一度投げようとするあわてて腕をとめる。
「ひとりで胴上げとか、しねーでいいし!」
「そか?よくテレビでやってるからよ!」
嬉しそうな笑顔にそれ以上文句は言えず、抱き上げられて恥ずかしくて、とんと胸を叩いてもそもそ腕から這い出る。
「おめでとうな!かーちゃんに報告にいって、昼飯食いにいくか。夜はホテルにデートいくぞ」
「アリガトな。俺も親に報告するよ」
俺は携帯を手にして、父親と母親のメールに合格を報告した。
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