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美人局大作戦→sideY

「ヤベェ、ヤス、マジ綺麗だな。マジすげー美女!!やべーなー、なんか緊張する!」 空き地へ戻ってきた途端に、東流は北羅以上に大絶賛してくれる。 キラキラした目をこちらに向けられると、これはこれでアリかもしれないと思う。やっぱり東流の美的感覚はヤクザさんと同じらしいので、少しくらいケバい、大人な女が好みなのかもしれない。 前に女装した時は、清純派なのを意識したんだけど、間違いだったかな。 そんなに恋人を褒めちぎるとか、周りからみられるとちょっと恥ずかしい。 まあ、嬉しいけどな。 暫くして誠士がバイクでやってくると、装備を入れた袋を担いで周りをうへえと見回しながらやってくる。 「東流、マジで東高ばっかじゃん。つか、康史、マジで女装とか、びびるんですけど」 袋を東流に手渡して、肩をそびやかせて誠士は、じっと士龍を見返す。 「同小だった、シロ。こっちは中学からのダチのセージ」 「野口誠士っす、シロ?でいいのかな?」 誠士は安心したように、士龍に笑顔を向ける。 「シロでいーよ。えっと、俺は真壁士龍、シロって、昔からトール君によばれてた。セージ君は空手強いんだっけ、有名だよね。インターホンがんばってね!!」 インターハイだろ。アタマいいのに、ぬけさくなとこは変わってないようだ。和製英語は苦手なんかな。 誠士も思わず吹き出しながら握手をしている。 「東の真壁って、シロのことでしょ。なに?天然??」 「士龍さんは、いろんなとこがお散歩して抜けてるんで気にしないでください」 士龍の仲間がフォローしているが、そういうぬけさくは変わらないんだな。 「ま、安心したわ。とりあえず、東流がヤリすぎないようにストッパーしたげて。康史一緒だから大丈夫だと思うけどね」 誠士が持ってきたチョッキを着る東流を見やり、女装じゃさすがに着れねーなと、チョッキを眺める。 「ヤスは着なくていい。俺が命に代えても撃たせねーから」 東流は胸を張って妙な自信で言い放つ。 つか、どっからその確信がでてくるんだろうな。いつもこいつの妙な自信にだけは、安心もするし、心強くもある。 「トールがそう言うなら、着ねーけど」 「とりあえず、突っ込んで近くのヤツに蹴り入れたら俺の背後に回れ」 ボソリと囁かれて、こくり頷く。 トールの背後ほど安全な場所はない。 「分かった」 総勢80人近くいると士龍は言っていたが、そんなに目立つことはできない。通報されたら最後だ。 この空き地も通報されかねないので、士龍に解散するように促した。 俺と東流と士龍、東流が独自の戦闘能力計測により見立てた使えそうなヤツ2人、合わせて5人で救出作戦を決行することにした。 士龍は、顔にはまったく出していないが、かなり焦っているようだ。 恋人が捕まってたら、やっぱり心配だし焦るよな。 焦りや感情顔に出さないのは、きっとイジメにあっていた時の癖だろう。 クオーターで天使のような顔をして、身体も小さく、日本語もカタコトに近く、イジメの格好の的になった。 自分にも経験があるが、感情を表情に出したら負けになる。 思わずぽんと士龍の肩をたたく。 「ツライなら、もっとツライ顔してもいいんだぜ?」 士龍はハッとしたように。ちょっと目を開いて俺を見返し、少しだけ眉を寄せて頷いた。

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