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やりなおし→sideT
「なあ、ヤス。あのヨ……前に言ってた遊園地、いくぞ。チケットまだあんだろ」
やっぱりずっと篭もりっぱなしなのは、辛いしな。
思いついたが吉日、夏休みに頓挫した遊園地デートをずっとそのままにしていたのを思い出した。
結構あの時は康史楽しみにしてたしな。
まあ、あんなことがあったし、俺達の中でトラウマになってたのもある。
遊園地とか、あんまり行った事はないし、絶叫系の乗り物に乗るのが楽しいのかどうなのか、実際よくわからない。
着ぐるみキャラクターにも興味はないし。
まあ、だけど、康史が楽しいのなら、きっと一緒に行ったら楽しいに違いないと思う。
朝、起き抜けすぐに言ったからなのか、康史はひどく眠たそうなぼんやりとした表情をして、俺が言ったことを理解できないようだ。
「だからよ、まださ、行ってなかっただろ?明後日卒検だから今日と明日は教習入れてねーから、一緒に遊園地いくぞ」
「あ、うん。…………え、いきなりだな」
くすりと笑いながらくしゃりと俺の頭を撫でる。
そして綺麗な顔をふわりと笑みに変えて、ベッドから起き上がって、
「ありがとな。すぐ用意する」
……あ、康史が篭ってるから、気分転換なの分かったかな。
康史は察しがいいからな。
直ぐに礼を言われて、俺は機嫌よく起き上がる。
「俺も先にシャワー浴びる」
「今日はバイクでいくだろ?」
康史の言葉にすぐに勿論と頷く。
この時期だから、そんなに混んでないだろうしな。
「勿論」
俺たちにとっては、トラウマ回収のデートだしな。
「準備は俺にまかせとけよ。ちと、楽しくなってきた」
康史の笑顔に俺も嬉しくなって、うかれながら浴室へと向かった。
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