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happybirthday→sideT

ショッピングモールにもあまり入ったことがないが、入ったことがないような店にいく。 店員もシャレた感じの人が多くて、なんだか浮いてるなとは思う。革ジャンと、いつものチノパンにシマウマの迷彩のシャツとかできたが、失敗したかな。 店員に連れられ、フィッティングで渡された服に着替える。 渡されたのは、黒いスキニーと灰色の厚手のニットと、少し薄手のモカカラーのシンプルなスプリングコート。 俺じゃ選ばない風合いの服に袖を通すと鏡に映る自分は、少しだけいつもより大人っぽくみえる。 いつもらガキくさい服を着ているわけではないが、康史が選ぶとこうも差がでるもんか。 フィッティングを出ると、すぐさま店員が駆け寄ってきて俺を見上げて笑みをみせてくる。 「お客様、身長が高いからかなりお似合いですね。どこかのモデルさんかと思いましたよ」 鏡をみやり、笑みをはりつける店員を見下ろすと、ビクッと身体を震わせる。 ビビッてんのかな。 「ん、やっぱりトールが着るとカッコイイね。着心地はどう?きつくない?」 康史は、店員の裏から顔をだして嬉しそうに眺めてくる。 「ああ、ピッタリだ。だけど、こんな、イイのかよ?」 ゆるくもきつくもなく、ニットの生地はあったかいし丁度いい。 「誕プレだからね。それに、こんなカッコイイトールを連れて歩けるのは、俺得でもある。支払いしてくるから待ってて」 康史の後ろ姿を見送って、着ていた服を手提げで渡される。荷物はロッカーにいれとくかな。 ふと夏休みに服をプレゼントされたことを思いだす。 男が服をプレゼントする理由なんとか、言ってたっけ。 まあ、それもまた俺には新たなプレゼントかもしれねーか。 戻ってきた康史に耳元でありがとうと囁くと、首筋を赤くして照れる。 ほーんとに、コイツは可愛いな。 ポケットからクリスマスに貰ったネックレスを出して引っかける。 俺の持ち物が全部康史のものに埋め尽くされる感覚。 こーいう店に入っても、この格好なら違和感ねえよな。 「あのよ、ヤス。オマエの誕生日、おぼえとけよ。倍返ししてやる」 「ぶは、トールにすごんで言われると。なんか別のことに聞こえちまう。摩訶不思議」 下から見上げて満面の笑みを浮かべる康史に、俺はゴクリと喉を鳴らす。ここで人目がなけりゃ、抱きしめたいとこなんだが、一応自重しとく。 「んー、トールの顔がエロい。もー、そんな顔されると我慢できなくなるんだけど」 俺の心を読んだのか、それともまったく読み切れてねーのか、康史はそんなことを言うと俺の腕を引く。 「何言ってンだよ。あーと、夕飯どーすんだ?」 「勿論予約してるに決まってんだろ」 テンプレ通りの言葉に、思わず俺は吹き出す。 ったく、コイツには抜かりはねえな。 この分ならホテルも予約してるとか言い出すな。コイツは。 「メシ食ったら、速攻帰るぞ。いま、明日立てねえくらいにオマエが欲しいわ。俺」

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