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【番外編】おくりもの→sideT
「トール、3日くらいさ、トールを好きにしていい?」
卒業式も終わったので3月一杯はゆっくりできるなと考えて飯を食べてると、いきなりそんなことを言われた。
好きにしてってな。
何の意味で聞かれているのか、漠然だが、鈍感な俺でもなんとなーく分かってしまう。
あんまり内容聞きたくねえ感じだが。
「3日間のあと、俺は何日寝込む予定だ?」
まあ、外に出てもどうせ乱闘やなんかに巻き込まれそうだし、別に部屋にいるだけなんだろうし、それは構わないんだけどな。
そればっかも、飽きるし。
「あ、なんか、予想してる?」
「まあな」
「じゃあ、寝込むの入れて1週間で。来週は誠士が卒業旅行一緒に行く予定組んでくれたから」
3日後4日寝込むとか、かなりハードな予定なんだな、と思うが、まあ、この春休みを逃すと、俺も長い休みはほとんど皆無になっちまう。
「………………わかった。旅行ひかえてんなら、あんまり無茶すんなよ。鍛えてはいるけど、そーいうのは、鍛えられねーし」
「へへ、トール、好き」
へらりと笑いながら、俺の食べ終わった食器とかを上機嫌で片付け始める。
まあ、進路違うのは俺が選んだせいだし、これから、生活が変わって我慢させちまうことを思うと、いろいろしてやりてえなって思う。
「それにしても旅行って、どこいくんだ?」
相変わらず何の相談もないが。まあ、それもデフォルト。
「えっと、沖縄」
「は?パスポートとか持ってねーよ」
飛行機乗るのは初めてだ。
そういう準備必要なことは、早めに報告がほしい。
「沖縄にはパスポートいらないよ」
「飛行機乗るのにか?!」
「国内はいらないよ。パスポートは、外国の入国に必要なの。あ、ヒガシも一緒にいくって」
いきなり東山の名前が出て少しびっくりする。
「マジか。そりゃ愉しみ。って、セージとヒガシ繋がりあったんか?」
「部活の主将同士だしね。そういうからみで話すことあったみたい」
「シロたちも一緒にいかないかなー」
確か士龍は1年留年しているので、卒業ではないはずだけど。
やっぱり、再会したことだし、小学校のころ付き合いがあったしなあ。
「……誘ってみる?でも……現地の人と喧嘩しちゃダメだよ」
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