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【番外編】新生活祝い→sideT
「へえ、さっそくダチができたんだ。ちと安心した」
誠士はまるで自分のことのように喜んでくれて、俺も嬉しくなって東山がもってきてくれたビールを口にする。
あんまり飲むと弱いから酔うのだが、明日はやすみだし、まあ、大丈夫だろう。
酒は15歳から飲んでいる。
飲む度に弱いのか、くらくらしちまうんだけどな。
「ああ、東高出身だけどさ、シロのダチだったっていうからさ、きっといいやつ」
「ともだちのともだちは、みなともだちだって、えらい人の言葉もあるしなあ」
「それ、タモリさんだから」
「タモリさんはえらいだろー」
東山と誠士は楽しそうに言い合いをしている。
2人はスポーツマン同士で仲が良い。キャプテン同士だし、ノリも合うのかもしれない。
「オマエらもいいやつだし、俺はダチにめぐまれてっよな」
おつまみの康史が出してくれたジャーキーを口にしながら、俺は上機嫌で笑う。
「そだな、ヒガシは東流のダチだから、俺もきっとイイヤツって思ったしね!だから、Jリーグ入ったらサインとかよろしく頼むぜ」
誠士は、パンパンと東山の背中を叩いて満面の笑みを浮かべ、携帯の時間を見て明日は試合の遠征があると言って出ていく。
「ヒガシはどーすんの?」
俺はビールを飲みながら、東山を見やり時間を確認する。
「泊まってけば?俺も飲んだから、車乗れないし」
康史は、終電を確認している東山に声をかける。
「終電は間に合いそうだけど…………」
「明日、試合とかないなら。バタバタしてくのも大変だろ?あと、後片付け手伝って」
「ああ、助かるかな。片付け、もちろんだよ。東流、もうべろべろだしね」
俺を見やって、東山はテーブルの上を片付け始める。
そういや、グラグラしてるな。
「弱いからね。ビール2本いっちゃうと、いつも大体あーだよ」
キッチンで康史が皿を洗いながらなにやらいっている。
「意外と弱いんだ」
「ま、酔ってる時はすごーく可愛いよ」
2人で笑いながら片付けているのを、俺はぐらぐらしながらテーブルにつっぷした。
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