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地下へ→sideT

空気が、湿っぽくてなんだかかび臭い。別に廃墟でもないんだが、イヤな匂いだ。 バイクは近くの公園横に停めて歩いてきたが、地下に続く階段は薄暗くて、なんだかさらに不安が襲う。 考えてみれば、いつでも自分は一人じゃなかった。今は近くに康史がいない。それだけなのに、いつも平常心でしかなかった心が、へこたれているのが分かる。 俺はこんなに、弱かったか? 奴らからの要求は、とりあえず3日間だまってやつらの言いなりになれということだった。 話からすりゃ、あの時のように輪姦されるんだなと予測はつく。 こんなゴツイ体の何がいーのかわからないが、それでいいならくれてやる。 その後のことはわからないが、多分3日間だけじゃすまないだろう。 別にこないだのハメ撮り動画がでまわろうと、どうしようと俺はどーでも構わない。 それは俺にとって脅迫でもなんでもない。 ネットに出回ろうがどうしようが、たいした問題じゃない。 捕まえてどうにかしようって奴等がいれば返り討ちにするだけの話だ。 問題なのは、康史には見られたくないし、それ以上に康史は今は動けないってことだ。 意識がないときならまだしも、病院で毎日寝泊まりするわけにはいかないしな。夜に襲われたら守れはしない。 一時的にでも、俺に気をそらせて置くことが必要だ。 考えてもいい手はうかばねぇ。 ギイッと防音になっている重い鉄の扉をあけると、10人ほどの男たちが一斉に俺に顔を向けた。 こないだは結構のしたし、それくらいしか怪我してない奴はいなかったのかもしれない。 壁中に張り紙やら、スプレーで落書きのかかれた汚い部屋だ。 そこに、ソファーやらベッドやら置いてあり、なんだか見たくもないような器具も並んでいる。 「ハセガワ、ふうん、逃げずに来たんだな。それとも、淫乱だから日高が怪我してるし、渡りに船だった?」 「動画、渡してくれンだろ…………」 わざと動画を気にしている様子をみせて、俺は近くに寄ってくる男たちを見据えて再確認した。 部屋を何気なく見まわして間取りなどを確認する。元々はAVかなにかのスタジオか何かなのだろう。 音響の機材らしいものが積んである。 「そうだな。…………オマエ次第だけどな。じゃあ、まず全部脱いで裸になれよ」 リーダーらしき金髪の派手な男が、俺の目の前に威嚇するような表情で立った。 いいなり、に、だな。 軽く目を伏せてゆっくりと手を伸ばして、ベルトのバックルに手をかけた。 目を閉じて少し気持ちわりいけど、すぐに終わることだと、その時の俺は考えてたいた。

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