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全部オマエのだ →sideY
ぐったりと死んだように眠る東流を眺める。
熱があるのか膚にじっとりと汗が絡んでいる。
輪姦を受けた上に乱闘かまして、帰ってきてすぐに膚を焼いてそのあとにセックスしたのだ。
流石の東流も精魂尽き果てた様子である。
俺のために、コイツはどこまでしてくれるんだろう。
子供の頃から、目立つ容姿のせいで絡まれやすい俺を守るために、東流はメキメキ強くなっていった。
俺も負けずに体を鍛えたが、東流のその力には勝てる気はしない。
そして、多分もう守ってもらわなくても大抵の問題は自分で解決できるのに、それでも、東流は俺のことになると脇目もふらず突っ込んでいく。
今回だって、そうだ。
「もっと大事にしてよ、自分のことも」
貞操さえ構わず差し出してしまう、その姿に本当に胸が痛くなる。
そして、俺のせいで汚されてしまったのに、そのことを負い目に感じて別れようなんて言い出す始末だ。
俺だって、オマエのためならなんでもできるのにな。
胸に光るピアス。俺が開けたものではない。
でも、ひどく扇情的で似合う気がする。
塞いでしまうよりも、俺のものだという証に変えたい。
買い物にいきたいが、骨折していて少し面倒な気がする。
……通販しよう。
俺はスマホを手にしてぽちぽちっと押して、柄の彫ってあるカッコイイピアスを選んで注文する。
本当は、手にとって選びたかったけどな。
スマホを置いて、寝顔を見つめる。
周りには怖がられているけど、整った男らしい顔。
一緒にいるといつも見られる無邪気な笑顔。
生まれてからほとんどの時間を東流とすごしてきた。
いまさら、離れるなんてできない相談だろ。
「でも、トールの全部、欲しいなんて思っちゃうんだよな」
俺のものじゃないピアスをつけてることも許せなくなるくらい。
ぱさぱさの灰色の髪を撫で、思わず呟くとトールは片目をうっすらと開く。
「…………イーヨ……全部、オマエのだ……」
熱っぽい息の中、開いたぼんやりとした目で俺を見返して笑みを浮かべて答えを返した。
「簡単に言いやがって。俺の趣味知ってるだろ?」
「……あァ?ンなの……は、俺が好きにしてイイって言ってんだよ………」
布団に寝そべりながら、腕を伸ばして俺の首にぐっと絡めて抱き寄せて背中に手を回される。
熱っぽい目で見つめる表情がそそるが、さすがに俺でも連日病人に手を出すわけにはいかない。
潔すぎるっていうか……。……男前すぎるっていうか。
本当にコイツは……。
「たまんねえや。もー、これ以上俺を煽るのをやめてくれ」
「煽ってねえよ。だりい……。ハラ減った…」
いつもの傍若無人な口調で、ふうっと深く息を吐き出す。
東流の逞しい腕に抱かれていると、なんだか酷く安心する。
「何食べる?買い物いけないし、ちょっと高いけどピザでも注文する?」
「そうか、動けなかったよな」
俺の骨折のことはすっかり忘れていたのか、ちょっとあご先に手をあてて、スマホを手にとるとどこかに電話をする。
ピザとってくれるのかな。
「セージ、俺。」
と思ったら、誠士に電話していた。
「メシ買ってきてくれ」
一言言って電話を切る。相変わらず、傍若無人すぎる。
まあ、誠士だから問題はないんだろうけど、本当に俺と誠士以外はこいつのこれにはついてこれんだろう。
「ピザ高いから、セージに頼めばいいべ」
まあ、そうなんだろうけどな。
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