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夏祭り→sideS

「ねえ、日高君たち遅いねー」 ツインテールの可愛らしいミカちゃんは、俺とメアドとラ〇ンIDを交換して、スマホをもって心配するように首を傾げる。 うーん、女の子って可愛くていいにおいするよな。 ホント神様仏様日高様あー、アリガトー。セージ君慣れない喧嘩の片棒担ぎをがんばってした甲斐ありました!! しかも、あの二人は、俺一人置いて勝手に消えていなくなってくれやがりました。 なんてハーレム。 ハーレムはいいんだが、それでもなんとなく居心地が悪い。つか、きっとみんな康史狙いだろうから、2人がいないといずれえっての。 「人が多いからね。あいつらのことだから、どっかで…………喧嘩になっちまってるかもしれね」 大方、俺の予想だと二人で違う花火をあげまくってるんだろうけど。 あいつら、ホント猿なんだか、飽きもせずセックスばっかししてやがる。 ずっと康史が東流の浴衣姿をみて、そわそわしまくってたのも、気づいていた。 ちっとは自重っていう言葉しらねえのか。 「あー長谷川君がいるもんね。日高君もすごく絡まれやすいけど」 女子は俺の言い分に納得してくれているので、問題はないんだが。 「よくも悪くも目立つからね、あの二人」 「野口君は付き合い長いの」 「ん。中学からかな、仲良くなったのは」 中学に入って、俺が東流と同じクラスになったのがきっかけだった。 思えば、あの時から康史はきっと東流に恋してたんだろうな。 今になってみるとわかることがたくさんある。 「野口君は空手の国体選手だし、二人より強いんじゃない」 「まさか。康史にはまだしも、東流には勝つ気はしないよ」 多分、どんな技を繰り出してもかわされてしまう気がする。 ふっと中学のころの思い出を思い出しかけたとき、人混みの中から、二人が並んで手にわたあめを持って戻ってきた。 なんで、二人してわたあめなんだ……。 突っ込み要素はいっぱいあったが、東流の目許が僅かに赤くなってる気がする。 あいつら……。 今さらだが、今さらだが、やっぱりセックスしてやがった。 「悪ィ、ちっと絡まれちゃって。」 絡まれたっていうか、2人で絡んできたんだろ。と、ツッコミいれたかった。 「そんなんじゃないかと思ったよ、つか、花火終わっちゃったぜ」 康史のうそに合わせつつ、なんだかフェロモン垂れ流しになっている東流へと歩み寄る。 「お疲れさん。なんでわたあめ?」 「ガキんとき、わたあめってなんかさあ、高級で食えなかったからよ………」 顔を見やると、うっすらと涎の跡とか涙の後が残っている。 あーあ、色々されちゃったのね。ほーんとにこいつらは分かりやすくて仕方が無い。 俺は、ハンカチを東流へ押し付ける。そのうちぬぐうだろう。 「なーんか、トールのやつ熱出したっぽくて。送ってくから今日は解散ってことで。2次会いくやつは誠士んちで」 「ばっ、二次会とかこねえのに会場勝手にきめんな」 思わず突っ込みをいれつつ、女の子たちも笑いながらそれじゃあねと帰っていった。 ミカちゃんの連絡先を聞けたので俺はラッキーだったが。 「楽しめた?途中でごめんな、見てのとおりトールが我慢できねえみたい」 「ちょ……今、俺のせいにした?」 我慢できないのは本当のようで、眉をよせた表情が切なそうにゆがんで色っぽい。 いや、ダチを色っぽいと思うのは、それはそれで間違っているのだが。 「ん。ミカちゃんとうまくいきそうだよ。アリガトウ。」 康史に笑いかけると、背中をとんっと叩かれる。 「よっしゃ、そろってリア充がんばんぜ」 「ぶっ、ハイハイ。んじゃ、俺も帰るぜ。東流も無理すんなよー」 手を振って、わたあめを手に幸せそうに寄り添って歩いていく姿を見送った。

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