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やくそくの場所→sideY

一旦荷物を取りに帰ると東流は自宅に帰っていったが、2、3日すると、何もなかったかのような自然さでさらっと戻ってきた。 持ってきたゲームをベッドでごろごろしながらやっているのを見て、さては、お気に入りの狩りゲームでも取りに行きたかったのかと思っていたのだ。 「なあ、いつさ、海連れてってくれんだよ。海パン持ってきたんだけど」 なんの脈絡もなく、東流は俺にそう言い出した。 いや、脈絡はいつもないんだ。東流に脈絡なんかあったためしはない。 「……どっから海とかでてきた?」 「ンだよ、忘れてんのかよ。夏休みになったら、ヤスの運転で海連れてってくれるっつったじゃねーか」 確かに、免許をとったばかりのころにそんな約束をしたような気もしなくない。 多分したのだろう。 東流の記憶力はかなりズバ抜けている。理解力さえあれば、かなり上の学校にもいけたはずだ。 「……わりぃ、忘れてた」 「まあ、色々あったしなあ。…………オマエの中の計画も変わったんだろうけどさ、俺は楽しみにして、海パンまで買ってたんだぞ。それを思い出してもってきた」 ゲームを取りに帰ったわけじゃなかったのか。 俺が忘れていたようなことを、楽しみにしてくれたことが純粋に俺は嬉しくて、 「じゃあ、今からいくか?」 「誠士誘う?大会終わってんだし」 相変わらず、東流はそういうとこは鈍感すぎる。 まあ、今更だしごちゃごちゃ言う気も起きない。 「……いいぜ。じゃ、明日。アイツもこないだ仲良くなった女の子連れてくる口実に使えるかもな」 俺ら2人でいちゃつく時間もほしいので、別行動も視野に入れた提案をする。 「そうだな!じゃあ、誠士に電話するぞ」 メールでいいだろ、と思うが嬉しそうに電話をかけはじめたので、俺はその背中を見守った。 海か。 そういや、話をしたとき、すげー喜んでたもんな。 別の計画に夢中になっちまったけど。 ちゃんと、夏休み、やりなおさないとな。 東流と過ごす、最後の夏休みだ。

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