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度重なるトラブル→sideT
「そんで、東の小倉派をまたもや成敗しちゃったわけ?」
呆れた様な誠士の言葉に、俺らは顔を見合わせた。
何度か返り討ちにはしたものの、OBの命令に逆らえないのか、この2週間で何度となくリベンジにきて煩かったので、めんどくさくなってきて、しまいには再起不能になるくらいのことをしてしまった。
「警察沙汰一歩手間だからな」
「だよねー」
康史も同意しているが、完膚無きまでにやらないとダメとか言ったのは他ならぬ康史である。
「いま、東にあるのは武闘派の小倉派と穏健派の真壁派が主流で真壁派が一番でかいんだけど、真壁が2年だから、トップは小倉派なんだよ。そんで、2年は武闘派の金崎派と富田派、穏健派の内添派。金崎と富田あたりは報復くるんじゃねーかな」
情報通な誠士は、よその学校のことも詳しい。派閥と聞いても俺はさっぱりだ。
「一番でけえ真壁はこないのか?聞いたことも見たこともねえけど」
「こないんじゃないか。コッチから手を出さなきゃ、なんもしてこないらしいぞ。穏健派だ」
「全部がおんけんはならいーのにな。1番でかいのにおんけんなんだな」
「まあ、聞いた話だけど、手を出したらかなりの報復が待ってるらしいけどな」
康史は、気味悪いなとつぶやきながら夕飯を料理してくれている。
「ヤスも予備校だしな。今は、ひとりにならねーように送り迎えしてるけど」
「過保護かい!」
誠士のツッコミに笑いながら、俺は苦笑する。
予備校が終わるのはいつも22時過ぎで、土日も通っているので一緒にいる時間があまりない。
まあ、だから喧嘩をしていれば俺も色々まぎらわせられるんだが。
「まあ、topを潰したわけだし、簡単には報復こねーだろ」
「小倉は、真壁が3年になれなかったから、他にいなくてなったトップなわけだからな。真壁の動向さぐってみる?」
「いや、いいよ。OBって言うのがきになるけどさ」
オールバックはいくら追い詰めても吐きはしない。
ただ、頼まれごとにボロボロになるのは、イヤだなとはいっていたが、何を考えてるのか読めないので苦手だ。
「なんで、恨みを買ったかわからないなら、闇雲に動いたらダメだからな」
誠士は、テーブルに並んだ夕飯を食べ始める。
そういや、康史が予備校に通いはじめてから久しぶりに夕飯食うなと思う。
「ヤス……明日、土曜だけどはええの?」
「ん。明日は判定模試があるから。今日も徹夜しないと」
2週間も触れられていないな、と、ふと思い出す。
まあ、派手に喧嘩をしているので、時間も潰されるし。ふたりきりになれる時間がほとんどない。
「……そっか、頑張れよ。飯食ったら、誠士をタンデムして帰るな」
たった、2週間なにもしてないだけで、弱音を吐きそうな自分に嫌気がさす。
俺は本音を隠して、誠士と一緒に康史の部屋から出ていった。
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