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※クリスマスイヴ→sideT

上にあがるエレベーターには、時間的なものもあるのか、ガラガラで誰も乗ってこなかった。 ガラス張りの夜景が見えるエレベーターに、俺は思わず、張り付くような体勢で眼下を眺める。 クリスマスのライティングでいつもよりきらきらの多い夜景は、本当に綺麗だと思う。 「トール、ガキみてえだな」 くすくすと俺の所業に笑いながら、康史はエレベーターの扉が閉まると、俺が背にしたガラスに腕を突き出してグイッと顔を寄せる。 「話題の壁ドン」 「ンあ?…………ソレ壁じゃなくて、窓だぜ」 「そんな、細かいことは気にしないの……」 頭の裏に腕を回され、少し背伸びをして康史は俺の唇をゆっくりと吸い上げる。 「ちょ……ンッ……ッん」 だれがくるかもわからないエレベーターの中、俺は康史を引き剥がそうと力をいれたつもりだったのに、まったく入らない。 それだけでなくジンジンと頭が痺れ、息苦しさに唇を開くと、ゆっくりと舌先が俺の舌を絡めてクチュクチュとなでまわしてくる。 ン……だ…?…………ッく、熱い。 下半身にすぐにダイレクトな熱が伝わって、さっきまで感じていた欲望がすぐに盛り返す。 舌の裏を舐められ、コートの内側に差し込まれた手が、いたずらっぽく俺の胸元へと這い、こりこりとピアスをひっかけるとビビビと電流のような痺れが走る。 全身を駆け抜けるような快感に、俺はあっけなく達して、康史の腰に腕を回して縋るように体を支える。 くちっと糸をひいて唇が外れると、まだイッている状態の俺を、康史はじっとりとした視線で眺めて微笑む。 「イクほどキモチよかった?…………密室だと、人がきたら匂いでバレちゃうかな……」 耳元で意地の悪いことを囁かれるが、俺はそれどころじゃなかった。 脚ががくついてしまい、たったこれだけの行為で腰が抜けそうになっている。 「キスだけで、イっちゃうなんて、トール、すごいやらしい」 囁かれるだけで腰にくるからやめてほしい。 バカになったように、体がいうことをききやしない。 早くエレベーターが到着しないかと、ただただ扉をガン見し続けた。

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