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落ちてきた爆弾→sideY
晴天の霹靂。
確かに俺は長年東流に片思いをしているが、なんでそんなわけがわからんことになっているんだ?
ずっと胸に抱えていて、ずっと言えなかった、ただひとつの本当の気持ち。
ちゃんと俺は、東流に自分の気持ちを東流に伝える事はできたのだろうか。
これも、東流のただの冗談かもしれない。
「え、ええっと、トール?あの…………あの、トールさん???あのよ…………波砂はどうしたよ?」
俺の態度は、かなりぎくしゃくというか声もうわずってしまい、かなり変なテンションになっちまっている。
こんなの柄じゃねーけど、心臓がバクバクして、指先まで変な震えがきちまう。
聞くまでもないけど。
東流は、波砂をそのままにして、俺とだなんて中途半端な真似はしない。
「そりゃ、とっくの昔にフラれたよ」
さらりと東流は、そこに感情の見えない答えを返す。
いつのまにやら、どんな展開でそうなったのかまったくわからない。
波砂は、東流を好きで仕方ないって感じだったし、東流もまんざらじゃない。
思わずアタマを抱えると、東流は何を思ったのか俺の頬にちゅっと唇をくっつけて顔を覗き込んでくる。
いきなりの攻撃に思わず顔を赤くしてしまうと、トールはぎゅっと抱きついてくる。
「まあよ、思い出せないなら全部俺が教えてやっから、オマエはごちゃごちゃつまんねえこと考えんじゃねーよ」
優しい口調で囁かれて、俺は舞い上がりそうな気分になりながら、何年もずっと悩んでいたことが、これからの一年でどう解決していった結果なのか、知りたいような知りたくないような、そんな不思議な気持ちでいっぱいになった。
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