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※まるで夢のような→sideY
生暖かい唇で裏筋をたどるようにもごもごと口を蠢かせる表情は、死角で良く見えない。
あの東流が、俺に奉仕してくれているのだ。
何度凝視しても、現実には思えない。
なんて、長い夢だろう。
良いところで、ハッとめがさめちまうんじゃないかと、警戒をしている。
まさか、東流が自分から俺のをしゃぶって愛撫してくれるなんて。
男のイイトコロを知っているだけあって、口技は巧みで他の女の誰より興奮した。
いや、ずっと好きな相手だから、それがうまくても下手でも、どっちでも興奮するのだろう。
わけがわからなくなりそうな、快感に俺は呑まれる。
「……ットール……っ、ハァ……っ……ふ」
「キモチイイ?ヤス、ほんとに、可愛い顔してんな……」
上目遣いで俺を見上げながら、口いっぱいにほおばりながら涎をこぼす顔はセクシーで、色っぽい。
こんな顔されたら、なんでも許してしまいそうになる。
喉奥まで深く呑み込み、ぐぷぐぷと音を立ててしゃぶりたてられ、脈動が早くなり弾けそうになる。
「ッいきそ…ッ……トールッ……」
ぐっとその頭を無理矢理掴んで股間に押し付けて、びゅくびゅくと劣情を吐き出す。
東流は苦しそうに呻いていたが、漸く俺が力を緩めると喉を鳴らして体液を呑み込んで、俺の肩を抱き寄せる。
「なぁ…………ヤス、……俺のこと、好きだろ?」
珍しく不安そうな表情にぶつかり、俺はびっくりして東流をまじまじと見返す。
この男が不安そうな表情をするのをいままでまったくみたことがない。
恋人から付き合った覚えがないと、言われたら流石に不安だよな。
「………すき……だよ、トール」
あんなに口に出すことができずにいた言葉を促されて、躊躇いながら口にすると、漸く安堵したように笑みを浮かべてふうっと息を吐き出す。
そして、俺の手をやんわりと握りしめる。
「俺も好きだぞ、何があっても手離さねえからよ……」
それは、忘れている俺に言ってくれたのだと思うが、もっと深い俺のこころに響くような言い方だった。
「受験前だし、ンなに体力使わせたらダメだから、今日はここまでだな」
「トールは、いいの?」
「俺は、まあ、いいよ。…………オマエの受験まではおあずけってわけだ」
俺の衣服をただして、もごもごと東流は言って布団をぐっと引き上げると、疲れたのかそのままぐーっと眠ってしまった。
トール、フェラ慣れてたな……。
ずっとそういうことしてきたんかな、俺ら。
なんだか複雑な気分になる。
手首の痕をちらっと撫でる。
そんなに古くない痕で、トールはおあずけ中って言ってた。
なんかかみ合わない。
どうして、俺は忘れている?
頭を殴られた?
いや、頭は痛くねえし、怪我もしていない。
トール。
教えてくれよ。
眠っているトールは、とても安堵しきって眠っていて、俺はなんだか自分がひどく凶暴な気持ちになっていくのを感じた。
俺は、トールを犯したい……。
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