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もうひとりの幼馴染み→sideT
金髪は俺の目をじっと見返してふわりと笑みを浮かべる。
「小学校で同じクラスだった、シロだよ、トール君。覚えてるかな?」
そうだ。
こいつは、橘士龍だ。
康史より身長は低くて色白で、クォーターとかだから金髪で、絵画からでてきたような天使だった。
見る影がないのが、非常に残念だ。
なんで東高なんだ。
小学5年からのダチで、よくイジメにあっていた。
帰国子女で日本語は怪しかったけど、すごく頭は良かったのは覚えている。たしか、康史より勉強はできたはずだ。
「シロ……?すげえ、おっきくなったな……」
そういうしかないだろう。
まあ、普通にすごいイケメンだとは思う。
「おー、いちごみるくいっぱい飲んでるしねー」
ふわふわした緊張感のない口調はらしいなとおもう。
いちごみるくって、すげー甘ったるいヤツだよな。
よく飲めるな。
「そっかァ、あ、シロ、コレ返す」
手にしていた意識のない、赤い髪の男を、士龍の方に放り投げる。
「アリガト。ゴメンネ、ウチノ子たちさ、今の3年にオマエ潰したらトップにしてやるって言われたらしくって」
「トップなんて人にさしてもらうもんじゃねえんじゃねえか」
「だよねェ」
同意して、士龍は転がったタケちゃんと呼ばれていた男の傷の具合とかを確認している。
たしか、橘病院の息子だったから士龍にもそういう知識があるのかもしれない。
やりすぎちゃったかもしれないな。
康史をヤッた本人じゃないわけだし。
「……ちっとそいつヤりすぎちまった……そいつに何かされたわけじゃねえんだが」
「昔から、トール君はヤッちゃん大事だからなー、トール君も東に来ると思ってたケド」
もしかして、士龍は俺らが東高にいくと思ってたから東高にいったとか?
まさか、な。
士龍は中学校に入る時に親が離婚したて引越ししてしまったのだ。
「シロは引っ越したから、中学校は別だったもんな、ちと受験頑張った……」
勉強しなかったら、俺は多分東高に行くくらいのレベルだ。
「ヤッちゃんと付き合ってるの?」
東高でも知られているくらいの話らしい。
まあ、だから康史が拉致られたわけだし。
「おう……、すげえ大事にしてたのによ……」
「……卑怯なコトしてスマネェな」
士龍は、自分が悪いわけでもないのに俺に頭をさげる。
同じガッコってだけで、士龍のせいでもない。
「シロがしたわけじゃねえし………ヤスに痛ェ思いさせたくねえから、ヤスに突っ込んだことなかったのによ……。他のやつにやられるなら、気にせず突っ込めばヨカッタ」
まあ、させてくれるかわかんねーし、べつに俺にはヤリたい欲求はあんまり大きくなかったわけだからいいんだけど。
康史の初めてなら俺がなりたかった。
思わず拳を握り込む。
「ぜってえ許せねえ……」
「いままで、セックスもせずに大事にしてたのか……なんて純情…」
「いや、セックスはしてたぜ。俺は頑丈だからさ、俺に突っ込ませてた」
うわっとビックリした表情を浮かべて、士龍は俺のからだをまじまじと見返してくる。
「頑丈だから…って……」
「とりあえず、入院させちまったけどさ、しょうがないよね?報復は俺のがしたいくらいだろォ」
「そりゃ、そうだけどな……、そうだな」
士龍は、すっかり驚いた顔で俺を眺める。
「コイツにもちょっとヤリすぎてすまねえって言っといて。こっちも、ヤスが記憶なくしたり、色々被害あるからさ、八つ当たりしちゃったけどな」
「マジか……記憶とか、やばくねえか?」
心配そうな顔をする士龍は昔と変わっていないようだ。
すっかりでかくはなっちまっはたけど。
「まー、受験は問題なかったみてえだけどな。シロも、東で大変だろうけど、またイジメにあってたら助けにいってやんよ」
よく小学校のときは優しい性格と綺麗な顔をネタにはイジメられていた。
こんな、ふわふわな性格で東高で無事なのか心配になる。
「だいじょぶ、イジメられてないから。いちごみるく飲んでるし、もうおっきーだろ」
自分のからだをひょいと指さしてにっこり笑う。
笑顔は天使のころと変わってない。
「そか、でかくなったもんな。あ、骨は折ってないけど結構なぐっちゃったから、ソイツ看病してあげて。俺これから教習しねえと」
時間を見ると、一単位サボりになっちまったことに気がついて慌てる。
「おー、事故らんようにな」
ひらひらと手を振る幼馴染みに、俺は手を振り返した。
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