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第26話 『こんな日』はいらない。

 今日は春なのに、雨と雪が降る予報なくらい寒い日です。  こんな日に杉原先輩は傘もささずに私の自宅門前に来て言いました。 「叶、ごめん。俺叶の知らないとこで……浮気した」 「……ぇ?」  先輩の告白に私の時は一瞬止まってしまいました。 「杉原先輩……今なんて言いました?」 「……ごめん」  急に言われても理解できないです。  先輩は何時も私には『愛してる』を繰り返し言うのに浮気ですか? 「…あの、先輩今浮気したとか聞こえたのですが……」 「そう言ったよ、叶の聞き間違いじゃない」  私の身体が……気温より冷たくなるのを感じました。 「……叶の聞き間違いじゃないんだよ」  今日は天気が悪い……雨です。  先輩は……私の『特別に大好きな雨』の日に、そう言いました。 「俺は浮気をしたんだ」  先輩は何時ものように雨に濡れています。  春休み、まさかその告白をするためだけにこの冷たい雨の中、傘もささずに報告に来たのですか?  私はその裏切りが……ショックすぎてしまい、その場でさしていた傘を落としてしまいました。 「……何故、そんな事言いに来たのですか。黙っていれば…私は気付かないかもしれないのに」 「俺がホントに『愛してる』のは叶だから……隠したくなかった」  浮気をしたのに『愛してる』のですか。  私は理解出来ませんでした。  では何故浮気をしたのですか……?  私では満足できないのですか……いえ満足出来ていないですよね?  私は快感に弱くて……杉原先輩に満足出来るような情事が出来ていませんし……これは私も悪い部分ですから浮気されても仕方のないことです。  本当の冷たい雨粒を先輩と私の身体を濡らしていますが、私の頬に温かい雨粒が伝うのがわかりました。 「……ごめんね、泣かす気はなかった」  先輩は私が落とした傘を拾ってくれて、差し出してくれました。 「私が先輩を……『愛してない』からですか?」  私が『愛』を知っていたら貴方に浮気などさせなかったのでしょうか。 「……私が……満足に情事の相手が出来ないからですか…?」  貴方を失うのは……怖いです。  死んでしまいたい……私に…価値はない。 「……先輩、今でも私を『愛してる』と……言えますか…?」 「言えるよ」 「では何故……っ」  私は差し出してくれた傘を振り払いました。  傘が宙を舞い、転がっていきました……。 「叶」 「貴方を『失う』ならば、私は『死にます』」 「かなえ…」 「……今日の雨、冷たくないですか?……私の家で暖まってから『帰って』ください」  もう『愛してる』なんて信じることなんて出来ません。  ですが……私は今でも貴方が『大好き』で、その気持ちは変わることはありません。  私は『大好き』な貴方に『最後』に抱かれたくなっただけです。 _____ 「叶」  杉原先輩は私を呼びますが……私は無視して廊下を歩きました。 「叶さまっ?!」 「どうされたのですか……?」  お風呂場までの道のりに家政婦家政夫達が濡れ鼠になっている私に声をかけましたが、返事をする余裕など私にはありませんでした。  私はお風呂場までたどり着くと……杉原先輩が入ったのを見て限りなくを掛けました。 「叶……死ぬ気じゃないよね?」 「………」  私は身体に貼りついたままの服を着たまま浴室に入り、シャワーを出しました。 「杉原先輩……『最後』に抱いてください」 「かなえ……?」 「……本気で……抱いてください」  浮気した相手よりも加減など出さない限りの全力で。 「…叶」 「……してくれないのでしたら、私の…勝手にします」  私はシャワー前から脱衣場にいる先輩の前に移動して、腕を引きました。  何時もなら動かない先輩が歩いてくれました。  これは懺悔ですか?  それとも同情ですか?  私と『最後』の情事を行ってくれるのでしたは、今の私はどれでも良いです。  どうせ元から濡れていますから、私は服なんて気にせずに温かいシャワーを浴びました。 「許して……くれないの?俺がホントに『愛してる』のは叶なのに」  許したいのに許すことが私には出来ないようでした。 「浮気は……本気で『愛してる』人がいるのに、でもその方に少しでも心が浮いてしまったんですよね?」  あんなに『俺の全て』と言ってくれたのに、少しでも浮いてしまった杉原先輩の心が許せませんでした。  いつから私の心はこんなに狭くなったのでしょうか。  執着などしなければ良かったです。  私は先輩の首に両腕を回して、思い切り背伸びをしましたが唇には届きません。 「キスしたいんです」 「ごめんね」 「……拒むのですか?私を『愛してる』のに……キスするの…嫌なんですか」 「違うんだ」 「何が……違うのですかっ?!」  してくれないと言うのなら……私は思い切りジャンプをして唇をぶつけました。  ガチッと歯が当たりましたが出来ました。 「っ………痛っ!!叶」 「……杉原先輩のこと今でも『大好きです』です…。ですが先輩の心が浮いてしまうくらいの魅力しか私は……持っていませんでしたっ」  悔しいです…っ。  そして惨めで……浅ましい自分が許せませんでした。 「叶には『浮気を許すという選択肢』はないの?」 「……………ないです」 「そっか」 「私のほうが『重い』『想い』でしたね」 「『好き』という感情を教えてくださり……どうも有難う御座いました」 _____ 「叶は……俺に抱かれたいの?」 「……はい」 「本気していいの?」 「……はい」 「……ごめんね」 「…許せません、ごめんなさい」  私の頬には雨粒が溢れ出ていますが、シャワーのせいで……杉原先輩は気付いていないでしょう。 「違うよ、叶……今日何日だか分かる」 「4月1日です……私の失恋日になってしまいました」 「違うよ。4月1日って何か記念日じゃない」  記念日……?  ……………え、まさか。 「エイプリルフール……ですか?」 「さすがに叶も知ってたか!!」 「……まさか、杉原先輩嘘つきましたっ?!」 「気付いた?」  ………私は先輩の首に回した両腕を離して、今度は両手で首を締めました。 「先輩なんて死んでしまえばいいんですぅぅぅぅぅぅっっっ!!!!」 「叶の握力じゃ死ねないよぉー」 _____ 「ごめんね、叶」 「……許してあげませんっ!!」  私は浴室で杉原先輩に背を向けたまま上着とズボンを脱ぎ始めました。  先輩が変な嘘をつくので私まで濡れてしまいました。 「エイプリルフールなんだよ?ウソは許される日デショ…」 「ついていい嘘と、冗談では済まされない嘘があります!!」  そうです……だいたい嘘をついていい日なんてあるからいけないんです、こんな日なんてなくなってしまえばいいんです!! 「でも俺は嬉しかったんだけどな。俺が浮気したら叶は許してくれないし、冗談では済まされないんデショ?」 「………そうですね」  エイプリルフールだと気付いて……嘘だと気付いたのに、私の心は冗談では済まないくらい怒っていました。  私の『想い』はこんなにも『重い』ものでした。   「あとね、冗談では済まされないことが俺にもあるんだけど」  そう言われて私は杉原先輩を少しだけ様子を窺いました。  ……影が私にかかります。  先輩が私に覆い被さってきました。 「叶が俺に嫉妬してくれるから……コーフンで下半身が熱いんだ」  先輩の濡れたジーンズが硬く膨らんでいるのが分かり、私は……急に恥ずかしくなりました。 「抱いて抱いて言う叶が可愛くて……本気にして泣いちゃってる叶が可愛くて、堪らないんだ」  チュッと綺麗なリップ音を立てて……私のこめかみきキスをしてきました。 「あっ……あのっ…」 「抱いてイイ?……本気で抱いてもいいってホント?」  ……私はあまり……嘘にしたくないです。  私はブロンズ髪の碧目の『滑稽な日本男子』ですが、『男』に二言はないが『美学』です。 「抱いてイイ?」 「……」  私は無言で縦に首を振りました。 「言葉で頂戴。『合意』?」 「……ごっ『合意』です」  杉原先輩はクスクス笑って、濡れている服の上から私の身体に触りました。 「叶はウソは『嫌い』だもんね」  ……お願いです、耳元で囁かないでください。 「ンぅ……っ」  私は……それだけで、反応してしまうんです。 _____ 「あの冷たい中で傘、落とすくらいショックだったの?」  温かいシャワーの雨粒が杉原先輩と私の身体を濡らしていきます。  私は先ほど上着とズボンを脱いでしまったので、身に付けているのはブラウス、下着、靴下のみです。  こんなことになるのでしたら、脱がしにくいように着ていれば良かったです!!  ……先輩の器用な手では濡れていなくても、脱がすことくらい簡単かもしれません……今でも私の胸の突起をブラウスの上から触って反応を楽しんでいるみたいでした。 「あっ……ぃや」 「嫌じゃないよね?……下着な濡れて貼りついてるから、どんな反応してるか直ぐに分かるよ」  後ろから先輩の左手が胸、右手がわたしの『それ』を濡れている布の上から触れられて、何時もと違う感覚に……快感に私は意識が曖昧になっていました。 「あっぁぁ…」 「叶は直接触られるより、濡れてる服の上から触られるよりほうがキモチイイの?」  ……お風呂場の窓に雨が掛かる音がして、浴室には温かいシャワーの雨粒が掛かり、私の『大好き』な人に抱かれる……『好き』なもののオンパレードで私の思考は何時もと少しだけ違いました。 「…ちょくせつ……が…いぃです…」 「叶は直接がイイのか……エイプリルフールだからってウソついてないよね?」  嘘なんて私はつきたくはないです。  何時でも正直でありたいです。  ですが私が嘘をついても、杉原先輩には通用しないのです、『場の空気を読む』。  これが身に付いている先輩にいくら嘘をついても見抜かれてしまいます。  先輩の右手が私の下着を下にずらして、私の『それ』に触れてくれました。 「ゃあ……ンぅっ」 「そんなにキモチイイんだ、トロトロした蜜が先っちょから溢れてるよ」 「みつじゃ……なぃで…」 「蜜だよ。『禁断の果実』だよね……ピンク色で美味しそうで、イヤラシイ」  止めてください、そんなこと耳元で厭らしく言わないでください…。 「ンぅ……やらぁ…っぁぁ…ンっ」  胸の突起に、『それ』を同時に攻められて……達してしまいそうでした。 「叶、イきたいデショ?」 「…っ…はぃ…」 「イったあとに、挿入れてって言ってくれたら先にイっちゃうの許してあげる」  ……許してあげるですか?!  それは私の台詞ですよっ……人を騙して嘘をついて、誰がそんなこと!! 「いぃ……ませンっ」 「え?イきたいデショ」 「っ……かってにっ…しますので…ゆるしてくっ…れなくて…けっこぅですっ……!!」  私は先輩の腕を掴んでいた自分の手を自ら『それ』に刺激を与えて 「っぁぁぁああぁぁっ……ンぅ!!」  達しました。 「っはぁ…っはぁ……はぁっ…」  怠い身体は杉原先輩に支えられて私は立っていました。 「ちょっとちょっと……叶何で勝手に」 「……だました…ひとに……っなぜわたしが…ゅるしてもらわなぃといけなぃンですか…っ」 「あ!ごめん叶、いつものノリで……」 「わ…たしは……ゅるして…ぁげませン…」  私は残っている力で、先輩の腕から逃れようとしました。  目から頬を伝って雨粒が零れて、一滴杉原先輩の左腕に落ちました。 _____ 「叶、ごめん」 「…ゅるしてぁげませン……」  杉原先輩の腕が私の身体を強く抱き締めました。 「かなえ……ごめん」  更に先輩の腕に力が入りました。  私は……この力には逃れられません。 「……かなえだけ『愛してる』。許してくれるまで…何度だって謝るから…」 「……ぅそは……ぃやです…」 「嘘じゃないよ……ごめん………ごめんね、叶」  嘘です……私はこの腕から逃れられないのではなくて、本当は逃れたくないんです。 「……せんぱぃっ『好き』です……」 「叶…キズ付けて……ごめん」 「……せんぱぃ……おねがぃします、『それ』をぃれてくださぃ……」 「…………『愛してる』」  先輩は優しい……キスをくれました。 _____  杉原先輩の『それ』は挿入れる前から大きくなっていて、上手く挿入るか不安になりましたが……私のお尻の穴は意外と軽く受け入れてしまいました。  それどころか……硬くて押し通るときに気持ちの良いところに触れて、変な声が出てしまいそうになりました。 「叶、今凄いキモチイイところだったデショ……アナルがちょー絞まって俺もかなりキモチイイ」  先輩の整った『綺麗』な顔が、私で快感を感じてくれているのが分かり嬉しくなってしまいました。  私は快感に震えながらも言いたくて……必死に声を出しました。 「っわたしで……ぃっぱいっきもちょく…なってくだっさぃ……」  快楽で歪みそうになる顔を堪えて、笑いましたが……多分出来ていませんよね。 「叶、キモチイイ思いさせてあげるから……許して」  先輩は後ろから私を抱え込むと、最初から激しく腰を動かしてきました。 「やっぁぁ…っ!!ぃやぁっ」  不意打ちに思わず私は悲鳴のような喘ぎ声を上げてしまいました。 「っ…そんなにイイ声上げちゃったら……何をしてるか外からバレるよ?」  先輩も今日は何時もより声も上がっていました。  中の気持ちが良いところをピンポイントで擦られて私の快感は一気に駆け上がっているのに、片手で『それ』に触れられて 「ぃやぁぁっだめぇぇっ!!」  私は直ぐに根を上げ達してしまいました。 「っ……二回目。もう一回イかせてあげるっ」  今日の杉原先輩は本当に容赦なく激しく腰を使ってきます。  今までに私はこんなに簡単に達したことがあったでしょうか? 「あっ……あっぁぁゃあ…」  私は快感の波に完全に溺れていました。 「かなえ……ちょーキモチイイよっ…!!俺イきそう……っ」  先輩は何だか狂っているようでした……私の中も狂いそうです……!! 「ゃやらぁっ…せんぱっぃ……らめぇぇぇっ!!」  中を擦られ過ぎて熱くて気持ちが良くて……!! 「やぁぁぁああぁぁっ…ンンン!!」  私が三回目を達したときに 「くッッ……!!」  杉原先輩も達してしました。 _____ 「……ははっ、キモチイイね!!叶」  先輩が息を付きながら笑っていました。  悔しいですが……とても気持ちが良かったですっ。  そして……悔しいくらいに杉原先輩、私は貴方が『大好き』です。  うううう……………仕方がないです……。 「きょぉの………うそ、ゅるしてぁげます…」  私はエイプリルフールなんて『大嫌い』です!!  私は騙されやすいので…見破れませんから、こんな日なくなってしまえば良いのです。  心の中で私は悪態をつきました。 完

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