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第36話 ワガママな『ハッピーエンド』。 3

たまたまスーパーで見付けた水出しアップルティーを叶に飲んでもらいたくて、来る前日に用意して冷蔵庫からだして俺の部屋に持っていった。 「あ、リンゴの良い香りです……アップルティーですか?」 「鼻が良いね。愛しの叶が俺の部屋に来てくださるので用意いたしました」 「杉原先輩がまた執事になってしまいました」 叶はそのアップルティーなコップを受け取りながら言った。 「去年の文化祭の俺の執事、カッコ良かったから惚れ直してもらおうと思って」 叶にはあまり良い思い出じゃないかもだけど。 すると叶は少しだけ赤くなり、 「……先輩は何時でも格好良いです、よ?」 可愛い……なんで最後に『よ?』をつけるの!! ああもう一緒にDVD見る約束なんてどうでも良いから……早くセックスしたい。 はっきり言っちゃうとこのときに俺は既に押し倒したかった。 だから。 俺はコップを持つ叶の手を握ると、無意識に唇を重ねていた。 叶の柔らかいぷにぷにのベビーリップはいつ重ねてもキモチイイ。 このままコップを取り上げて、そこのベッドに雪崩れ込もうと思ったら。 「……せンぱぃ…DVD」 「………はい」 叶は通常運転で……目的を忘れてくれなかった。 どんだけDVD楽しみにしてるの……俺より楽しみわけ?! はっきり聞いてみようかと思ったけど『DVD』と言われたら……立ち直れそうにないからやめた。 「…叶がどんなDVDでも良いって言うから、今回は恋愛モノにしてみた」 「れ……恋愛もの…ですか」 叶は姿勢良く正座をした。 自分からは見たりしないだろうし、緊張してんのかな。 俺達の恋愛の勉強にもなると良いと思って借りてきたんだけど……大丈夫かな。 「同性同士じゃないし、ゲイビでもAVじゃないから気楽に見よ」 俺はパソコンを立ち上げて……ディスクを入れた。

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