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第38話 ワガママな『ハッピーエンド』。 5

それから青年はスーパーでバイトを始めた。 多分ヒモみたいで嫌なんだろうね……俺も気持ちは分かる。 そして主人公に生活費を出すようになり……暗くなる主人公を前向きにさせようと、一緒に出かけるようになった。 この二人は既に惹かれあっている、見ていて分かった。 「この二人は可愛いですね、……まるで恋愛してるみたいです」 叶は俺に抱え込まれている中で、そう呟いた。 そうだよ叶、この二人は既に恋愛をしているんだ……自覚していないだけ。 最初の頃の叶と俺……一緒だよ。 青年の前で子供のように無邪気になる主人公に、青年の目が……ちょー優しく笑うようになった。 俺はなんとなく分かった、この青年も主人公のように『人生に潤い』が欲しかったんだ。 それを『主人公』に見付けた。 上手い展開の持っていきかたの物語だと思った。 このDVDを選んで正解だった……と思った。 が、 ある日青年を何も知らない主人公は、青年のことを知りたくなってしまい……バイト先のスーパーまで行った。 青年は働く姿を主人公に見せるのが恥ずかしくて『来ないでね』と言ってあったのに。 そのスーパーで一生懸命働く青年を見付けて、主人公は新鮮さを覚えたが……仕事仲間の可愛い女の子に口説かれているところを見て、ショックを受けていた。 それで主人公は青年を『恋愛対象として見ていた』ことに気づいて、怖くなり……逃げた。 あーあ、見なきゃ良かったのにね……俺はそう思いながら叶を見たら、顔を青白くしていた。 叶……これはフィクションだよ、なんでそんなに反応してるの。 「先輩……私このDVDは見たくないです」 身体が強張っている。 「大丈夫だよ、俺がいるデショ」 俺は叶の手を握った。 ……逃げる姿を青年は見付けて、主人公を追いかけた。 主人公を捕まえた青年は『自分は仕事仲間としか思っていない』『……だから仕事をしているときにスーパーには来て欲しくなかった』と伝えた。 青年は主人公が『自分が好きなのかもしれない』と気付きかけていた。 主人公は我を忘れて道端で泣き出してしまった。 青年は主人公をアパートに連れ帰り、またバイトに戻った。

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