39 / 56

第39話 ワガママな『ハッピーエンド』。 6

「…ぅっ…ぅう……っふぇっ…」 DVDの中の主人公と、その物語を見ている叶が大号泣していた。 これ以上DVDの続きは見れそうもなくて……俺はDVDを止めた。 「叶?かなえちゃーん……これ本当の話じゃないし泣かなくていいんだよ」 いかに叶の反応が良いのか改めて理解した。 「……みにっ、ぃかなければ…ょかったんです…っ」 マジ泣きだ……お子さまな叶には恋愛ものは少し難しいのかな、とは思ったけど叶と俺の恋愛苦悩もかなりの難易度だと思うよ? 「まだ告白もしてないのに見るのやめちゃうの、この二人に失礼じゃない?」 「ゎたし……こゎくてっ…、はっぴーぇんどの…れんあぃしか…、みなくなぃです…」 俺は叶を力任せに持ち上げて、向かい合わせにした。 泣いている叶は……妙に軽い気がして不安になる。 「叶、『恋愛』は全てハッピーエンドで終わるもんじゃない。バッドエンドもある」 「…ですがっ」 「現実だって必ず結ばれるとは限らない。叶だって知ってるはずデショ」 叶と結ばれたい……けど、『世間が許さない』だろう。 それでも今幸せなんだから……それを噛み締めれば良いんだよ。 叶の白い肌が泣いているため桜色に……顔はリンゴのように赤い。 グチャグチャになって泣いている叶なのに、俺は欲情していた。 でも『泣く』よら『鳴く』とか『啼く』が俺はいいかな。 だから。 「辛いなら……慰めてあげるよ、身体でいいならね」 心が物語に感情移入して泣いてるなら、俺が物語に入れないように……入れなくなるように考えられなくしてあげる。 泣いている叶の意思なんて気にせずに抱き抱えて、すぐ横にある俺のセミダブルのベッドに下ろして、覆い被さった。

ともだちにシェアしよう!