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第20話 キミと姫初めへの道程。 5 『初マーキング』
寒がりな叶のために少しでも浴室を暖めたいからシャワーは出しっぱなし、叶を壁に逃げられないように縫い付けた。
それから……覆い被さるように抱き締めながら、キスを髪へ頭皮へ額にまぶたにキスの雨を降らせる。
叶の反応は『可愛くて』いちいちビクビクと身体を震わせる。
まるで小動物……叶の場合はやっぱし仔猫かな?
なら……俺は仔猫を襲う狼というところだなぁ。
柔らかそうな叶の唇に啄むようにキスをすると……両腕が俺の首に回される。
これは『もっと頂戴』、おねだりの叶の仕草だと俺は解釈している。
……遠慮なく噛みつくように唇を重ねると、それに答えるように舌を絡める。
「…ぅン……っ」
鼻に抜ける声は甘い。
俺は舌を吸い上げ、歯列をなぞり…上顎を舐めあげる。
されるがままの叶がいつからか俺に答えてくれるようになったのかは、もう忘れた。
人形の『綺麗』な叶は、もうどう見ても人形のような人間の『綺麗』な叶になっていた。
そうさせたのが俺だと思うとゾクゾクするほど嬉しい。
彫刻や陶器を思わせる艶やかな肌は冷たくなくて……暖かくて柔らかくて、極め細やか。
布で例えるならば正しくシルクだった。
それが今シャワーの湯で濡れて、いつもより淫らに見える……。
酸欠でぐったりしている叶はもう俺からは逃げない、そう感じて壁に押さえ付けていた手を腰と背中に回す。
ふと、叶の首筋に目を落とすと、去年最後にセックスした証のマーキングが消えていた。
それを見ると……ちょー悔しくなった。
消えなきゃ良いのにね、そしたら叶は俺のものだと主張が出来る。
まさかこの俺がこんなに女々しい感情に陥る日が来るなんて思ってなかったよ。
首筋に舌を這わせてから思い切りキツくマーキング……キスマークを付けた。
「ンっ……せんぱぃ…」
……痛かったよね?
「跡……次にスルときまでに残ってたらいいな」
桜色の叶の乳首に吸い付くと、
「ンンっ……」
ビクリと身体を大きく揺らす。
どうしてそんなに感じちゃうの?
……嬉しいけど。
キスと同様に乳首を吸い上げ舐め取ると……
「ンンっぅ……」
今までにない甘いくぐもった声が浴室に響き渡る。
………イヤラシイね。
もっと聞きたくて、もう片方の乳首にも口付けると更に甘い鼻に抜ける喘ぎ声が漏れる。
「……あっ…ンぅ……」
でも……唇を噛んで堪えて欲しくないかな。
柔らかい唇に傷がつくよね。
片手を下半身に滑るように移動させながら出来る限り優しく叶に言い聞かせる。
「声堪えなくていいんだよ?ここどこだと思ってるの……」
「……ぁっ……でも…」
何が『でも』なんだろうね。
「ここはみんな淫らに快楽に溺れる場所だよ」
下腹で手を止めると叶は熟れたリンゴのように紅くなりながら、
「……せっ…せんぱぃに……きかれてぃま…す」
そう言いながら目を瞑った。
……『可愛い』叶は、セックスの最中どうしていいのか分からなくなると目を瞑る。
叶は知らないけどね、目を瞑ると次にどんな快感が来るか分からないから、より敏感になるんだよ。
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