13 / 20

第13話

向かいの山は、遠い。だから、行ってしまったらもう会えない。 しかも、『結婚』するからだと? 結婚するのか? 妻を娶るのか、このスイが。 そして、スイはそのメスを、女を、抱くのか? ――――スイに、『俺の』スイに、女なぞ、抱けるのかっ? 激情が庄一の体を駆け巡った。その瞬間、これが『嫉妬』という感情で、自分はスイを――女を抱きたいと思う意味で―――好いているのだと理解した。 そして、スイの細い手首を乱暴に掴むと、そのまま山小屋の中に強引に連れ込んだ。 「っ、しょ…っしょういち?」 怯えた金色の瞳に、庄一は苛立ちと共に、体が熱くなるのを感じた。

ともだちにシェアしよう!