17 / 20
第17話
日記に書かれた通りに山を登る。×の掘られた杉の木に、御影石を通り過ぎると、既に日が暮れ始めて夕焼けが差す開けた場所へ出ることが出来た。そこに、山小屋は存在していた。誰も手入れをしていないために、荒れ果てた山小屋がそこにはあった。
窓には木の板が幾重にも重なっていた。
厳重に窓を隠したのだと分かる。
「…嘘、だろ…」
実際に見るまで、半信半疑だったのに、目の前に存在する日記の場所に頭がクラクラする。
けれど、怖い物見たさの好奇心が僕を駆り立て、一歩一歩小屋に足が進んだ。
すると、山小屋の扉がうっすら開いていることに気づいた。錠前は壊れている。
錆びて蔦の這うノブに手をかけると、意を決して扉を開いた。
そこには、
何もいなかった。
「なんだ…、は、ハハ…そうだよな」
僕は拍子抜けしつつホッと安堵して、乾いた笑いをした。
ともだちにシェアしよう!