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第17話

 日記に書かれた通りに山を登る。×の掘られた杉の木に、御影石を通り過ぎると、既に日が暮れ始めて夕焼けが差す開けた場所へ出ることが出来た。そこに、山小屋は存在していた。誰も手入れをしていないために、荒れ果てた山小屋がそこにはあった。 窓には木の板が幾重にも重なっていた。 厳重に窓を隠したのだと分かる。 「…嘘、だろ…」 実際に見るまで、半信半疑だったのに、目の前に存在する日記の場所に頭がクラクラする。 けれど、怖い物見たさの好奇心が僕を駆り立て、一歩一歩小屋に足が進んだ。 すると、山小屋の扉がうっすら開いていることに気づいた。錠前は壊れている。 錆びて蔦の這うノブに手をかけると、意を決して扉を開いた。 そこには、 何もいなかった。 「なんだ…、は、ハハ…そうだよな」 僕は拍子抜けしつつホッと安堵して、乾いた笑いをした。

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