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第6話
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翌朝、フィオレオはガットと分かれて行動した。ガットには、今日も魔法協会で不調の原因を探ってくると言って、出てきた。しかし、協会には行かなかった。
どうしたらガットの傍にいられるのか、一生懸命考えた結果だった。
覚悟を決めフィオレオは、『マーケット』と書かれた一角に入っていった。
思っていたよりも時間がかかり、夜遅くになってフィオレオは宿に戻った。部屋のドアを開けると、ちょうどガットがシャワーから出てきたところだった。濡れた髪をガシガシと薄いタオルで乱暴に拭いている。
「遅かったな?」
「ええ。ちょっと、時間がかかってしまって…」
深く被ったローブのフードで顔を隠したまま、フィオレオはガットの横を通りすぎようとした。しかし、普段と少し雰囲気の違うフィオレオの変化を感じたのか、ガットが腕を掴んだ。
「どうしたんだ、お前。腹でも下してんのか?つーか、フードなんかして暑くねぇの…っ…お前…それ、どうしたんだ?」
ガットが何気なくフィオレオのフードを頭から下ろす。フィオレオが慌てて顔を隠そうとしたが、一瞬遅く、ガットが固まるのが分かった。
二人の間に、緊張が走る。
意を決して、フィオレオが口を開いた。
「髪は…切りました。目は質に入れました」
少し震える声でフィオレオは言った。
フィオレオの腰まであった髪は、項が見えるほど短くなり、右目には眼帯を付けていた。魔法使いにとって髪は魔力を溜める部位で、とても貴重だ。それが金髪となると、貴重さが増して高く売れる。そして、碧目もまた貴重なものとして、一部の人間にコレクションされることがあった。それらを合法的に売り買いするのが、『マーケット』で、昼間に行った所だった。
ローブの前を開けて、手に持っていたアタッシュケースをガットに見せる。中には大金が入っていた。
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