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第9話
「今日で、パーティーの解除をして下さ、」
「ふざけんな!!」
言い終わる前にガットが胸ぐらを掴んで、フィオレオを壁に押しつけた。ドンと凄い音がした後に、天井から垂れ下がったランプがゆらゆらと揺れる。
「ふざけんなよ…フィオ。お前が俺を捨てるのは許さねぇ」
ガットの瞳は怒りに充ち満ちている。
自分が『ガットを捨てる』?
「フィオ、お前は俺のもんだろ?」
その瞬間、フィオレオは成人の日を思い出した。
誰一人自分をパーティーに選ぼうとしてくれなかった。それどころか、低すぎるレベルに奇異な目を向けられて、とても居たたまれなかった。
そんな中、ガットだけが違った。
『お前、レベルひっくいな。まぁ、ちょうどいいや。パーティーのレベル上げたくねぇし。お前、俺の魔法使いになるか?』
歯に衣着せぬ言い方だったが、周りのような目はなかった。
『…はい。お願いします』
それは、まるで道端の小さな花を見つけるような出会いだった。
あの日から、フィオレオは『ガットの魔法使い』になったのだ。
フィオレオの左目からポロッと涙が零れる。
ガットにとって、フィオレオは既に唯一無地の魔法使いだったのだ。
「ぼ、くが…貴方を捨てるわけないじゃないですか…。貴方の傍にいて…いいんですか…?何もできない役立たずなのに」
「初めから役立たずだって分かって入れてんだろが」
「ヴっ」
「髪は仕方ねぇ。けど、目はさっさと戻してこい。俺はお前の碧目を気に入ってんだよ」
ガットの手が離れ、フィオレオの左の瞼に優しくキスが与えられた。
「…はい」
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