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灰色の糸第4話
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「っ、あ、んっ、く」
ラブホテルのベッドの固いスプリングを軋む音にあわせて俺の身体も揺れる。
啓介さんとのセックスはまだ始まったばっかりだけど、今日別れたばっかりのバカなんかより数倍良かった。
浅く抜き差しされたと思ったら悪戯に奥深く突き刺されて背中がのけ反る。
前立腺も狙われて、でもそうじゃなくても擦りあげられるだけで全身がどうしようもなく震えてしまうくらいに気持ちがいい。
身体の相性っていうのなら間違いなくあっているんじゃないか。
多分いままでの誰よりも、ってくらいに。
啓介さんの腰に脚を巻きつけて、俺は自分の半身を夢中で擦りあげた。
嬌声と荒い息。腰を打ちつけてくる啓介さんは俺の痴態を熱のこもった眼で見つめてくる。
真面目な男の色欲に濡れた眼差しが興奮を煽る。
啓介、と喘ぎ混じりに呼ぶと、俺を見る目が一層強く光った。
のしかかってくる重み。頬に触れてくる熱い指先。
―――陽。
掠れた声が俺の名を愛おしそうに呼んで、唇が触れ合う。
絡まる舌と肢体。
気持ちよくて気持ちよすぎて、もっと、と際限なく欲が沸き上がった。
なんで。
こんなに気持ちいいんだろう。
啓介、とまた俺は男の名を呼んで深いキスを、男の欲棒を味わった。
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