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第3話
「でーきたっ」
錬金窯でぐるぐるすること30分。
お師匠様から作っておくよう言いつけられた錬金薬が出来上がった。
窯から壺に移して、窯は流しで綺麗に洗う。
キッチンではまたルピナがポイズンクッキングしてるみたい。なんかドロドロしたものお玉で混ぜてる。
僕の作った口に苦しの良薬よりも苦々しい色してるんだけど……。
お師匠様の為に、胃薬も作っておいてあげようかな。
錬金窯を片づけて、胃薬はすり鉢だけで火は通さずに作れるからと、材料を物色したんだけど。
「うぅん…薬草が足りない」
ちっちゃな葉っぱ一枚しか残ってないって、どういう管理の仕方なんだ。お師匠様め。
無くなりそうになったら補充しなさいっていつも言って聞かせてるのにあの人は。
別に無ければ使う時に取ってくるからいいよ~。って、全然良くない!深夜や明け方に必要になったらどうするんだ!
これ、腹痛の薬の調合にも使うやつだぞ。
ちょっと行って取ってこようかな。
胃薬用の薬草は山の麓を少し上がった辺りにも生えているから、1人で行ってもそう危なくはないだろう。
箒で行けばすぐだしね。
思い立ったが吉日。
箒を取って来てから、ルピナに声を掛ける。
「ちょっと僕、薬草取りに行ってくるよ」
「えっ、1人で?サフラン様帰ってきてから一緒に行けば良くない?」
「お師匠様、今日は遅いって言ってたから」
「これから雨降るよ」
脚にとすんってぶつかったのは黒猫のラナ。体を擦り付けながら歩いて、最後に尻尾でスルンと撫でる。
「早めに引き上げるよ」
「僕もついていこうか?」
「ラナは箒乗るの好きじゃないでしょ?」
「昔サフランに落とされたからね」
「僕は落とさないのに~」
と、おしゃべりはここまで。早く行かないとホントに雨が降ってきちゃう。
雨に濡れたら、箒で飛べなくなっちゃうもんね。
「じゃあ行ってくるよ。すぐ帰るから心配しないで」
✻ ✻ ✻
心配しないで───と、そう言って出てきた。
雨が降る前に、パッと行ってパッと帰る筈だった。
戻ろうとした途端に土砂降りなんて聞いてない~~~っ!!!
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