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第4話
採集してる間に夢中になって、いつの間にか山の中腹まで入り込んじゃってた。って言ってもそう大きい山じゃないから20分も歩けば麓まで戻れるんだけど。
晴れてれば木の天辺から箒で翔べるから、家まで20分掛からない距離。
足を使えば下りに20分、そこから15分。
それに加え土砂降りの雨。ホントは何処かで雨を凌いで、弱まるのを待ってから帰りたいけど…。
もう1時間ほどで日が暮れる。
滝雨に打たれながらでも急いで下山しないと、皆に心配をかけちゃう。
躊躇してる暇はない!
「よしっ!行こう!」
ザバー──────
ですよねですよねっ、うわ~ん!
おっきな木の下から出た瞬間、頭から足まで全身ぐっしょりになった。
箒も一気にずっしり重くなる。
採取した薬草だけは、雨降りを考慮して濡れないように包んで皮袋に入れてあるから大丈夫。
なんだけど。
うぅ…、寒い……
春めいて暖かくなってきたとは言え、外での水浴びは流石にまだ早い。
体がガタガタ震えだす。
ラナの温かいお腹に顔を埋めてモフモフしたいよぅ……
木に手をつきながら何とか歩を進める。
視界は悪いけど、道はこっちで間違えてない筈。
木が鬱蒼と茂るポイントは、光も射さなくて真っ暗になっちゃうけど、雨が叩き付けてこない分ちょっと楽だ。雨音も少し遠くに聞こえるから、ほんのちょっとだけホッとして息を吐いた。
その時、パキン─と小枝の折れる音が何処からか聞こえた。
誰かいる…?
足音は聞こえない。足音を立てずに歩いているのか。
もしかして、ラナが心配して迎えにきたのかも知れない。
「ラナ…?」
呼び掛けてみたけど、返事はない。
「ラナじゃないの?」
暗闇の中、何かが光る。
ラナの瞳の金とは違う、ギラギラとした光が、2つ、4つ、6つ………いくつ…?
もしかして僕、また野犬に囲まれてる───!?
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