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秘め事

 家にオミもいるというのに、0時前にリンの部屋に呼ばれたかと思うと、ベッドに押し倒され口づけられた。  寝間着の上から乳首をいじられ、その状態でぶわっとフェロモンを出されて、あっという間にアルは動けなくなってしまう。  この間まで散々抱いただろうに。それだけでは気が済まなかったのだろうか。  キスとフェロモンで息を上げてしまったアルを、リンは笑ってみている。 「アル……乳首もうたってる」 「ひ、あ……」  身体がガクガクと震えだす。  いじられた乳首は徐々に尖り、じん、と甘い痺れが身体に広がっていく。 「リ、ン……だめだって、ばあ……」 「なんでダメなの。  身体は反応しているじゃない」 「だって、オミが……」 「あの子が一度寝たら起きないことくらい知ってるでしょ。  それに、このまま部屋戻ったら……辛いのはアルだよ」 「う……」  確かに身体の中心には徐々に熱がたまり、芯を持ち始めている。  このまま部屋に戻されても、自分で慰める羽目になるだろう。兄の隣りの部屋で。  リンの手が服を捲りあげ、尖った乳首に直接触れる。 「ふあ……リン……」 「発情してないから妊娠しないよ。だからアル……」  中、いっぱいにしてあげるね。  そう言って、幼なじみの兄は優しい笑みを浮かべた。  すっかり尖り熱を帯びた乳首を、リンの舌が這う。  手はアルのモノの裏側を撫で上げ、蜜をあふれさせる先端を爪で割る。  腰から這い上がる快楽に抗えず、アルは自分から腰を浮かせ、リンの手に擦り付けた。 「可愛いね、アル」 「いや……リン、リン……」  リンはたちあがったアル自身をゆるゆると扱き、ときおり玉の部分を撫で上げる。  唇を噛み、喘ぎ声を我慢するアルの唇がぺろぺろと舐められ、少しずつ口を開かされていく。 「あふ、ん……ん……ん……」  ついばむようなキスを繰り返しながら、リンはアルの両足を抱え上げ、双丘を撫で上げた。 「ひっ……」  指が後孔をつついたかと思うと、ゆっくりと中に入ってきた。  異物感に、膝が震える。  リンはいっきに2本の指をいれ、中を拡げかき混ぜていく。アルの中に生まれた熱はすでに体中に広がり、もっと欲しいと本能が訴え始めていた。 「リン……リン……」  繰り返し彼の名前を呼ぶと、嬉しそうに、なに? と返事が返ってくる。 「中、あっつい……。中、もっと欲しい……」  自分からねだるなんて信じられない。  けれど口は勝手に動き、身体はさらなる快楽を欲している。  リンは、アルの身体をうつ伏せにさせると、腰を高く上げさせた。 「俺、限界だって泣くまで入れないほうが好きなんだけどね。  君にねだられると、耐えられない」  いつもと違う、少し熱を帯びた声でリンは言い、すでに固くなった自身の先端を後孔に押し付ける。  アルは、シーツを握りしめ、次来るであろう圧迫感に備えた。 「ひ……あ、あ……」  肉を割り、中に凛のモノが入ってくる。  最奥までたどり着くかつかないかのところで、リンは腰を揺らし抽送を始めた。  ぐちゅぐちゅと音が聞こえるのはなぜだろう。  どうやら、アルの後孔は、女のそれと同じように愛液を滴らせるようになってしまったらしい。  それが信じられなかった。  身体が変わってしまった。  その事実が、その現実が心に重くのしかかる。 「り、ん……イィ……そこつくの、だめっ」 「あぁ、この奥をつつかれるの、アル好きだよね。  いっぱいつついてあげるよ、アル」  言いながら、リンはアルの身体を起こし、後ろから抱きしめると首筋を舐めあげた。  噛まれる……  一瞬ヒヤリとしたが、舐めまわすだけで、彼はうなじを噛もうとはしなかった。  アルの身体を上下に揺らし、手がアル自身を扱きあげる。  強すぎる快楽に為す術もなく、アルはリンの手の中で射精した。 「あ、あ、あ……ぅあぁ!」  びくん、と腰がはね、中にあるリンのモノをきつく締め上げる。  中に欲しい。  熱いものを中で満たしてほしい。  その思いが通じたのが、それとも偶然か。  リンの動きが止まったかと思うと、短い喘ぎと共にリンのモノが一瞬大きく膨らむのを感じた。 「あ……」  安堵なのか、名残惜しいのか。自分でもよくわからない声が唇から洩れる。  リンはそのままアルの首筋に口づけると、甘い声で囁いた。 「愛してるよ、アル」 「リン……?」  愛してる? 本気だろうか。  彼が好きなのは、兄だけじゃないのか。  自分なんてしょせん身代わりだろうに。オメガで、オミの弟だから抱くんじゃないのか。  そんなアルの混乱をよそに、中にいれたままアルの乳首を後ろからいじり、行為を続けた。

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