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第5話

 ノア様と別れると、母さんに言われて本家の方の手伝いのために王宮へと向かった。  王宮にある庭園は、アイサー家とは比べ物にならない。アイサー家のは母さんとヘンリーさん二人でなんとか切り盛りできるし、忙しい時は知り合いを呼べばなんとなかる。だけど、王宮ともなるとそうもいかない。大仕事の時は、本家の他に、ズワイス一族から一人ずつ手伝いが呼ばれるのだ。今回もそれだ。でも、この時期に王宮で何があるというのだろう。  王宮の裏手に回ると、他の家の代表者達が集まっている。僕は、ひょこひょことおじさん達の所へと、挨拶に行った。 「こんにちは」 「おー、ケイトんとこの坊主か」  ズワイス一族の中で半獣人なのは僕だけ。だからというわけでもないけれど、おじさん達は僕のことを気にかけてくれてる。確かに、獣人に比べると筋力は劣るし、身体もそれほど大きくはならない。だけど、一応男なんだし、おじさん達の邪魔にならないように、頑張らなくちゃ。 「今日は何があるんですか?」  僕は不思議に思いながら、隣に立った別のおじさんに聞いてみた。 「ああ、なんでも、王子の婚約者が見つかったらしいんだわ」 「それそれ、何年前だっけ?その婚約者の家で父親が惨殺されてたっていう話」 「あったなぁ、そんな話」  おじさん達は昔話のほうに夢中になりそうだったので、もう一度、何があるのかと問いかけると。 「もうすぐその婚約者が王宮に戻るんで、その前に一度、庭園の手入れを行いたいんだと」  おじさんが話し終えたと同時に、裏手の門が開いた。 「よーし、そんじゃ、一仕事、頑張りますかぁ」 「おおお!」  陽気な声につられて、僕もなんだか笑顔が浮かぶ。この国の未来に少しだけ関われる、そんな気分になりながら、僕はおじさん達の後をついていった。

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