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第4話
30箱の荷物を工事中のバックヤードに納めたら、今日はもう直帰して良い。
店舗エリアへと続く観音扉を押し開け、真っ暗な通路を進む。
「せっかちだね、君は」
「ふふっ だってなかなか見られないですよ? 内装工事も始まってない店舗なんて!」
構造剥き出しの建物に話し声が響く。
根越君は自分のスマホで工事中の状態を撮影している。はしゃぐ姿は、まるで子供だ…。
「あれ? 電池切れる。残念、ここまでか」
真っ暗な所でずっとライト点灯してたらそりゃ切れるだろう。
遠くでサイレンの音が聞こえる。17時かな?
時間を確認しようとポケットのスマホを探る。
……無い?
部長に完了の連絡して…その後…
あれ?
「根越君、倉庫に戻るよ。忘れ物したみたい」
元来た扉を押す。
…押す。
押すんだけど、動かない!
押しても引いても、無情な金属音が発せられるだけ。
外から施錠されてしまった…!
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