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第3話
男はこのまま、ここで―――誰も来ることのない林の中で――――、息絶えるであろう。
誰にも、否。
ただ一人が知るこの場所で。
この事実は、ただ一人が抱え込む現実なのだ。
誰にも話せず、誰にも気づかれず、
ただ一人。
(孤独の中で、お前は、俺を想うしかないのだ。)
男は死に、肉体的に解放されたとしても、その罪は一生消えることなく、相手に纏わりつく。それは決して、薄れることはない。
時が経てば経つ程、忘れようと願う程、深く深く、心の臓の奥の奥まで、刻み込まれるだろう。激しい後悔と共に。
一度持った感情は、決して消えることはない。
記憶は薄れたとしても、感情だけはただ深く、濃く、己に浸透していくのみだ。
(―――お前も、分かる時が来る…。)
男を殺したことは、決して己の救済ではないと。
己を永遠に縛り付けるだけのことだと。
(もうお前は、俺を忘れられない――――。)
お前の思考、感情、行動、全ては、俺を殺した事実によって構成される。
お前は自分から、自分の逃げ道を断ったのだ。
そうして、いつまでも、いつまでも、憎悪し、嫌悪し、苦しめ。
深くなればなる程、お前の四肢は雁字搦めに縛られる。
『俺』という存在に――――。
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