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第5話 俺的、新事実!!

「んじゃ、ルアがシュンの教育係な」 「まだ決めてなかったの!? やったぁ!」 「?」 ここでの"撫で"とその後の対処法もを教えられて、俺はクラクラしながらなんとか服を着ていた。 するとゼスがルアを俺の教育係にしていて、俺は今更ながらここが只の酒場じゃないのを実感し始めた。 師匠……ここはちょっとどころじゃなく大人な世界かもしれません! でも、ゼスとルアから教えられた……のは、嫌じゃない。 皆、優しくああしてくれるなら、別に良いかなぁ? とか、俺ってば軽い! 「シュン、"酒場"面では同じフロア組のルアに色々教えてもらえ」 「うん、それじゃ暫く僕がシュンに色々教えて上げるね。 一階個室のボックスにも一緒に行くから大丈夫だよ」 「うん。ルア、宜しく」 店の奥にある、宛がわれた部屋に向かいながらルアと話す。 とりあえず下見だ。 「そうだ。僕は17歳だけど、シュンは幾つ?」 「16歳」 「1歳下か」 「俺は22歳だよ~」 ん? 「フェリンさん!」 「やはー、おはよ?」 わわ、気だるげな美形な方が登場してきたぞ!? この人は、月が無い夜の様な黒い瞳が印象的だなぁ。 「もうお昼過ぎて、むしろ夕方が近いですよ」 「んンん~? そう? まぁ、業界挨拶、って事で……ふわわ~~……にゃふ」 トロンとして……眠いのかな? 「昨日は1階で騎士様に"撫で"と、2階で明け方までいっぱい"抱っこ"されたから~」 「抱っこ?」 「うん、抱っこー」 俺の疑問の呟きに、緩い笑顔でフェリンさんが答えてくれた。 「ぁ…。シュ、シュンは今日雇われた新人なんです、フェリンさん! だから、まだここでの事は色々知らないんです」 「ン? ああ、そうなんだ。じゃ、年齢的にも"抱っこ"は無理だね」 「はい。"撫で"のみです」 「うんうん」 「……?」 「ね、俺はフェリン、宜しくね」 「シュンです、宜しくお願いします」 そして俺に"ニコ"っと笑顔をくれて、フェリンさんは奥に歩いて行ってしまった。 ……それにしても、"抱っこ"で寝不足とは? う~~ん? まぁ、俺の知らない事がまだまだたくさんあるんだな。 「ここが俺の部屋!」 「そうだよー。僕の隣ね。トイレとシャワールームは各部屋で、自由に使える共同の台所があるから」 そして開かれたドアの中を覗けば、ベッドに机に椅子、クローゼット……凄くシンプルだけど、その分好きに出来る! あまり無いけど師匠の所から俺の荷物を、ここに運ばなきゃな! そうなんだ。身寄りの無かった俺は、出会った日から師匠の所にお世話になってんだ。 服は師匠や皆がくれるのを手直ししたり、そのまま着たり。 師匠の古着はデカ過ぎてブカブカでゆったりだから、だいたい部屋着や寝間着にしてる。 腹出し、肩だし、捲れてお尻や臍が出てても気にしないで着て寝てた。 それに猫の姿でいる時は服は要らないし。 寒かったら、デカい師匠の身体の下に潜り込めば良いし。 冬場や寒い時は寄り添って、猫型でも人型でも擦ったり温め合って寝てた。 それに有難いことに皆が何かしらくれるから、俺は特に困った思いをした事が無い。 でも、お給料が出るなら自分で服や色々買えるかな。 あ、皆にお土産も買える! それと、貯金! 今後の為に大事だ!! 俺を可愛がってくれる知り合いも、たくさん作るぞー! そんで最大魔法都市に行って、優しいご主人様に仕えるんだ!! ……あ。でも、師匠と離れるのは……チョット寂しくて嫌かも……。 今後の事にドキドキワクワクしてしんみりしショボンとしていたら、ルアが遠慮がちに俺に話し掛けてきた。 「ね、シュンは……溜まったら自分でシないの?」 「溜まる? 自分で? どういう事?」 「んと、さ? さっきの……で、自分の……射精に驚いてたみたいだから……」 「しゃせー? 何、それ?」 「え!!?」 「え?」 その言葉、知らない。 ハーク師匠も他の猫の仲間も、俺には"しゃせー"を教えてくれなかった。 でも、何だかたまに「今度……ボスが近くに居ない時にな、シュン?」とか、「ムズムズしたら教えろよ!」とか12歳になった辺りから年上のオス猫達に言われてたけど……。 特に師匠は「俺に一番に言え」とか「まだか?」とかしきりに言ってきたな。 しかも最近も俺の顔をじっと見ながら、「極小チビだから成長が著しく遅い……のか?」と呟いてた。 俺は師匠の隣で「うん」や「まだ? だよ?」とか、「そうかも?」と普通に答えてた。 その度に師匠は何だかガッカリして、雷前の曇り空の色をした灰色の瞳を俺に向けてきた。 だって、何を指しているかいまいち分からなかったんだ。ハッキリ言ってくれよ! 「あ。でも、ああいうネバネバしたのなら、たまに朝起きると下着に付いてた。それ?」 「それだ!! ……夢精してたんだよ、それ。寝ている間に射精していたんだ」 「え!? 俺、寝ている間に射精してたの? それなら14歳位からあったよ! 師匠に報告してないから、しなきゃ!」 「はぁ~~……周りの大人は何となく苦労してそう……」 ちょ……? 俺は何でルアにそんなジト目で見られないといけないんだ―――!?

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