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第28話 ビックリしたにゃ!

「ルア、これ、って……どう思う?」 「…………う~~~……ん……」 俺は直ぐに血っぽい跡をルアに相談した。 すると、ルアは俺の部屋に来てくれた。 「……シュンはしばらく部屋に居る時はドアは鍵を掛けないで。 僕もその間、鍵は掛けないからね。 何かあったらそっと僕の部屋に来て教えて。 それが出来ない時はとにかく僕側の壁を思いっきり叩きまくって!」 「うん……。ルア、これって怖い……事?」 俺の質問にルアは「……そうかもしれないけど、……早く解決すると良いね」と言って、俺の頭を撫でて抱きしめてくれた。 そして金曜日にハークがやって来た。 よし! ここはテンション上げてく!! そこで俺は、ハークに土曜日に指名を受けている事を自慢した。 だって、指名だよ? し め い!! ま……流れは……アレレだけどさ。 「ふふふん~!」 俺を撫でながら話しを聞き、チビチビとジンライムを飲むハーク。 しかも明日の指名の時は、フロアで俺一人で初めての接客! あ、ハークは別枠。本当は今日もルアと一緒だったんだけど、ハークなら良いって言われたんだ。 ハークを独り占め出来て、嬉しい! そして俺はどこにも行かさない様に抱き付きを強くした。 ハークは俺に会いに来てくれたんだもん!! とにかく、ルアに試してみようかと言われた。 これってステップアップのチャンス! 嬉しい事が二つもだから、テンション上げてく! 「ハーク、ハーク!」 「ん? 何だ、シュン?」 「はぁ~~~くぅ~~~」 「はー分かった分かった。撫でるから頭ぐりぐりしてくんな。地味に痛い」 ……でも結局……さ…… 「……うん。ハーク、もっといっぱい撫でて……」 「シュン……?」 部屋の不安が押し寄せ、俺はハークに甘えた。 だって、怖いもん。 ルアが気に掛けてくれているけど、怖い。 部屋に帰れば、ノルは居るけど……。 「にゃぁ……」 俺は小さく鳴き俯いて、更にハークに引っ付いた。 ハークは俺の肩に手を置いて引き寄せ、ずっと頭を撫でてくれていた。 「よぉ、シュン、……来たぜ」 「あ、ヨセム! いらっしゃい!」 そしてヨセムは約束通りアジアジの酒場に現れ、俺にミックスジュースをくれた。 俺はルアに一言断りを入れてからヨセムとボックス席に隣り合わせで座った。 ヨセムは席に着くと、俺の両手を握って手の甲を親指の腹で撫でながら話し掛けてきた。 俺はそのままでヨセムの冒険譚や他の街での出来事などを聞いた。 ヨセムの話は俺の知らない事が多く、とても楽しいものだった。 それに俺を撫でる表情がずっと笑顔だし、ヨセムは満足しているんだな。 一人で接客にドキドキしてるけど、これは成功かな? 俺ってば、出来る子!? にゃふふー! 「シュン、俺の撫で……どうかな?」 「うん、優しくて好き。俺の事、もっといっぱい撫でて?」 にっこり笑って手を"ぎゅッ"握ったら、ヨセムが鼻血を出した。 「に"ゃ!?」 驚いて"ピピン!"と猫耳が出た。 そしたらヨセムが「ぐは!」とか言って"はぁはぁ"言い始めて……。 「シュ……シュン、俺とそこの個室に……ハァハァ……イこう? 生猫耳……ナデナデ……ハァハァ……。 そして、そして……目の前で……! 俺、チップたくさん上げるから、シュン、良いだろ!? なッ!?」 「……よ、よせむ? ……ふ、ふにゃ!?」 握る手に力を加えて、ヨセムが距離を縮めてきた。 ど、どうしよう……!? 鼻の両穴から血を流して、目がランランギラギラ……とっても怖い……!! 爽やか二枚目度ゼロ!!! しかも、個室? ここは断りたいけど、ここに呼んだのは俺がヨセムに体当たりしたからで、お詫びで、でも代金はヨセムで、俺は指名されていて…………あー!! もう、分かんないにゃ!!!! でもでも、誰か助けて……!! そんな気分に支配された時、影が落ちてきた。そして…… 「……シュン、そろそろ俺との時間だろ?」 え……? この声は…… 「ハーク……!?」 レモンスカッシュを持ったハークが、俺とヨセムを見下ろして不敵に笑っていた。

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