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第48話 空を見上げて
「ハークのバカ! バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!!」
俺は猫の姿になりノルにぽにゅぽにゅと猫パンチ!
ノルには悪いが、完全な八つ当たりだ。
でも猫パンチの後は舌でそこを「ごめんね」と舐めて、ノルのぷるふわぼでーにダイブした。
うにゅ……ぽわぽわ癒される……。
そして緩んだ格好のまま、自室の窓から空を見た。
今日の空の色はハークの瞳と同じグレー……つまり、曇り空。
「…………何でお店……そうじゃなくても、俺に会いに来てくれないンにゃ……?」
空を眺めていたら、俺は前世の事を思い出した。
俺、病室から空ばかり見てた。
……空が好きなんだ、俺。
だから六歳の俺は両親に絵本より空の写真集を強請った。
空はさ、結構表情があって、色の変化が綺麗なんだ……。
「……そうだ! 図書館に行って、空の本を見よう!」
俺はそう決めて人型になり、アジアジを出て図書館へ向かった。
今日の休みは図書館で知的優雅に過ごす!
そして俺は街の図書館に行き、空の写真集を数冊選んで閲覧者用場所に行き、読み始めた。
空……と言っても青空だけじゃない。
青空、夜、夕日、雨、雪、時間帯での変化、地域……。
実に面白い。
そんな中で俺は出会った……
「わぁ……緑色の夜空だ……」
こんな空の色、知らない。
本の説明にも、『珍しい夜空』と書かれている。
難しい事はチンプンカンプンだけど、えーと?
"大気光"という現象らしい。
『大気光学現象の一種で、惑星の大気が起こす弱い発光の事。
これある為、星明かりや太陽光の散乱が無かったとしても夜空は完全な暗黒にはならない。』
おお? これはハークに教えなきゃ!
ハーク、この現象……もしくは緑色の夜空、知ってるかな?
今まで見たことあるかとかも聞いてみたい。
ハークの家に行こう! この時間なら、本を読んでいるはず!
ハークの家に……ハークの……ハーク…………ハー……ク……
「……ふにゃ……ぅみゃぁん……。無理にゃ……」
……そうだ。俺の一方的なものだが、俺はハークとケンカしてんだ!
それに行ったら、"ゼロ"を取り上げられてしまう。
発見した時のドキドキした高揚が一気にしぼまり、悲しさが内側に急速に広がり俺は思わず泣き声を上げた。
緑色の夜空を指で何度もなぞり、涙が出そうでその度に鼻をすすった
「―泣いているのか? 本は除けた方が良い」
……???
俺は突然声を掛けられ、一瞬で涙が引っ込んだ。
驚き、反射的に顔を声の方へ向ければ綺麗な空色の瞳をした旅装の魔術師の爺さんが、本を広げている俺を見下ろしていた……。
「…………」
「…………」
俺は……何となく、視線が外せなくそのまま彼を見返したままだ。
一見穏やかそうな表情……でも、瞳が強く輝いている……。
マジマジと……何……?
訳の分からない視線に、居心地が悪くなってきた。
そしてそんな俺の"怯え"を見ながら爺さんが"ニヤリ"と笑って……
「お前、"猫"だな?」
―……静かな館内で……低い声から発せられた言葉が俺を捕らえた……
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