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残り火2nd stage 第2章:波乱万丈な夏休み5
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腕の中で抱きしめている千秋が身じろぐ気配で、ふっと目が覚めた。障子からきらきらと朝日がこぼれていて、晴天なのが見てとれる。
「う……ん、朝?」
眠そうな顔して、俺を見上げる寝ぼけ眼な可愛い千秋。ずっと見ていても、飽きない自信がある。
「おはよ」
「穂高さん……。おはよぅ、って、あれ?」
「どうしたんだい? 不思議そうにして」
ぼんやりした表情から一転、俺の腕の中できょろきょろした。
「えっ!? あれ? どうして?」
「どうして立場が入れ代わっているんだろうって、ビックリしたみたいだね」
言いながら、枕元にある時計に目をやる。午前4時54分か。
「……すごくビックリした。どうして、穂高さんの腕の中にいるんだろうなって」
ビックリしたと言いつつも、どこか恥ずかしげに俺が着ている浴衣をぎゅっと握りしめた。
「ビックリしただけかい?」
まるで俺を捕まえたといわんばかりに掴んできたら、それに応えたくなる自分がいる。君が片手で掴むなら、俺は両手でもっと強く捕まえるよ。抱きしめて離さないからね。
「うわっ!? あの……」
薄い浴衣の生地をなぞる様に、背中を撫でてあげた。反対の手は千秋の帯に触れてみる。
「ね、どうして帯がこんなに緩く結ばれているんだい? まるで、簡単に解けるようになっているけど」
「そんなっ。ちゃんと結んでいたよ」
「俺の腕の中で寝ていた千秋は、寝相がとても良かったからね。寝乱れることがないと思うんだ」
着崩そうとしているのに慌てて俺から手を離し、胸元をわざわざ合わせる千秋。そんな彼の耳元にくちびるを寄せてやり、笑いながら告げてあげた。
「もしかして俺を抱きしめながら、興奮することでもしていたとか?」
「しっ、しないよ、そんなのっ」
慌てふためく可愛い千秋に、更に追い討ちをかけてやる。
「へえ。でもココは正直だね。すごいことになっているけど。ん?」
上が着崩せないのなら、下から責めてあげよう。
背中に回している手で上半身を自分に押しつけながら、首筋に顔を埋めた。帯に伸ばしていた手を使って、浴衣の裾を一気に捲りあげる。
「ちょっ、朝か、ら……何やっ、て……んぁっ!」
「何やってって朝だからだよ。おはようの挨拶をきちんとしないと。千秋にも千秋自身にも、ね」
自分がつけた首の根元にある痣にちゅっとキスを落しつつ、はらりと浴衣の上半身を脱がしていった。
「ああぁっ、も、ダメだ、ンンっ……ったら」
「ん~。浴衣を脱がすのは簡単だが、問題は身体に巻きついている、この帯だな。千秋を転がすワケにもいかないしね。時代劇みたく、あーれーぇってされたい?」
「んもぅ! 何考えてい……る、のっ」
疑問を口にしながら、しっかりと千秋の感じるポイントを入念に責め続けていたので、ほぼ半裸状態の彼の肌は、うっすら桜色に染まってすごく綺麗だった。
「何って今後の予定を――どこから挨拶しようかと」
ぷっくり膨らんで俺を待ちかねている胸元に、舌を這わせながら挨拶しなければ。
「あっ、んぁ……あぁ、っ!」
空いている方にも挨拶を――左手親指と人差し指で、呼び鈴を鳴らしてあげる。
「やぁ! 痛い、よ……っ、ぐりぐりしすぎ、だってば」
「ごめん、可愛くて。つい」
潤んだ瞳で抗議されても、それすらも俺の胸を締めつける材料となってしまう。
しかしいい感じで肌に熱を持ち、感じまくっているからこそ、ぐりぐりしても平気だろうと思ったんだが……。いつもなら「もっと」って言う行為なのにな。やっぱり邪魔しているのは、『帯』だろう。
起きてる俺は縄抜けの術よろしく、さっさと外すことができるが、寝たままの千秋だと、帯を下にズラすのも一苦労だな。
「おおっ、そうだ!」
「わっ!? いきなりどうしたの穂高さん?」
驚く千秋を尻目に、起き上がって緩めていた帯を一気に足元に落して、さっさと浴衣を脱ぎ捨てた。そのまま何ごともなかったかのように横たわり、千秋の上半身をよいしょっと抱き起こしてあげる。
「千秋もさっきの俺みたいに、浴衣を脱いでごらん」
「う、うん。分かった」
「その後は――俺はこのままでいるから、感じさせて欲しいトコロを千秋から誘導してみて」
俺の言葉に「ひぃっ」なんていう変な声を上げ、微妙な表情のまま浴衣を脱ぎ、真っ赤な顔で見下ろしてきた。
「ゆゆゆ、誘導って、な、そんな……」
「さっき痛いことをしちゃったからね、お詫びだよ。千秋が触れていい場所に俺の手を持っていったり、感じさせて欲しいところを口元に寄せてくれるだけでいいから」
――下から感じる千秋の顔を見ることができたら、それはそれで乙なものだろう。
「そんなところに突っ立っていると、ずっとその状態でいてもらうことになるからね」
全裸の千秋を寝たままじーっと眺め倒してやると、耳まで赤く染めた彼が渋々俺に跨ってきた。
「どうしてほしいんだい?」
「……おはようのキスから」
目を閉じて、くちびるを合わせた千秋の身体をぎゅっと抱きしめてから、誘われるままに快感を与え続けたのだった。
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