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残り火2nd stage 第4章:あいさつ4

***  何で、こんなに――。 「はぁ、ぁあ、んっ……あっあっ、ひゃっ…」  あのあと浴室から出て、前の晩に作っておいたオニギリとサンドイッチを穂高さんと一緒に食べた。 「お腹いっぱいになったが、まだ満たされていないものがある」  口元に意味深な笑みを浮かべながらいきなり俺を横抱きにし、ベッドに運ばれてしまい現在に至っているのだけれど。 「うっ……んっんっ、ぅぁ」  何度も何度も抱き合ったのに、全然足りない。飢えた獣みたいに穂高さんを求めてしまった。 「千秋っ、少しだけペースを落としてくれないか? せっかくひとつになれたのに、このままだと直ぐにイってしまう」  うつ伏せになってる俺を背後から抱きしめながら、喘ぐようにお願いされても、聞いてあげられそうにない。 「いっ、イっていいよ。たくさんっ、感じて欲し、ぃから…」 (我慢させてしまった分だけ、たくさん感じさせたい――) 「駄目だ。そんな無茶苦茶なペース配分だと、君の身体に負担がっ……。あっ、腰を動かし過ぎないでくれ」 「や、だよ。んっ……っ、俺だって男、なんだ。好きな人を……とことん感じさせたいって、ンン、思うのはっ……当然、でしょ」  その言葉に、俺の動きを封じようとしていた腕の力がすっと抜けていき、腰の動きに合わせて自らも激しく打ちつけはじめた。 「マズイな……。さっきから千秋に身体だけじゃなく、言葉でも打ち抜かれてる。くっ……感じさせられて、もう……ぃ、イくしかない、よ。うっ」  痣の付いてる部分にガブッと咬みつきながら、身体を何度か痙攣させた。じめっとした穂高さんの汗と中に注ぎ込まれる熱を感じて、幸せの余韻に浸りたくなる。だけど残念なことに俺の身体の事情がそれを許してくれなくて、ひどく困ってしまった。 「俺を求めてヒクついてる千秋を、今度は感じさせてあげる。今日は優しくできそうにないな。こんな風にイかされてしまったんじゃ、手加減できそうにない」  言いながらぐるんと俺を仰向けにして、艶っぽい笑みを浮かべながら、じっと見下ろしてくる。 「そんな煽情的な顔して、俺を見つめるなんて。おねだり上手にもほどがある」 「穂高さんのせいだよ。変なローション使って俺を感じさせたから、きっと」 「しょうがないだろ。淫らな君を見たかったしね。それに――」 「なに?」  両手をベッドに張り付けるように俺を固定して、挿れたままにしていた穂高さんのを動かす。動かした途端に、部屋に響き渡る卑猥な水音に羞恥心が煽られてしまった。 「うぅっ、んっ、ぁっあ……っ、はらか、さんっ」  穂高さんの激しい動きのせいで、身体の芯が熱くて蕩けてしまいそうになる。  足でシーツを引っ掻いてジタバタすると、追い討ちをかけるように俺の片足を持ち上げて、妙な角度をつけた。 「俺から逃げようなんて、悪いコだな」 「違っ、そうじゃなくって……ひっ!?」 「それとも自分から、イイトコロに導いているのかい?」  胸元に顔を寄せて感じる部分に舌を這わせながら、わざとらしく音をたてて責めあげてきた。上と下のダブル攻撃に、余裕が削ぎ落とされる。 「ああっ……、いい、も、っと!」  あまりの気持ちよさに自分から胸をせり出して、穂高さんの愛撫を強請ってしまった。 「千秋、んっ、可愛いよ。そんな君が……くっ、すごく、好きっ」 「ほらかさ、んっ……俺も、だよ、もっと……たくさんっあ、ひゃぁん……愛して」 「だったら、しっかり目を開けて見てごらん。触れていないココが、ほら」  ゆっくりと目を開けて、穂高さんの顔を見てから見つめてるところを確認すべく顔をあげたら、淫らに蜜を垂らした俺のが、穂高さんの身体と自分の身体をしとどに濡らしてる姿があった。 「まるで、ローションを塗ったみたいになってるよ。上と下、どっちか悦くてこんなになったんだい?」  穂高さんは意地悪く笑いながら、顔をのぞき込んできた。いつもながら困ってしまう質問に、口をすぼめて言い淀むしかない。 「千秋、そんな顔をしても、どっちの動きを止めないよ。きちんと答えてくれるまで、ね」 「やっ!? そんな、っ……ぁん、両方とも気持ちいい、のにっ」  俺を感じさせようとアレコレ手を尽くしてくれる動きに、自然と淫らになってしまう。肩に上げられている片足に力を入れて、穂高さんの身体を自分に引き寄せた。 「おっと! あぶないな、いきなり。気持ちいいと言いながらまだ足りないからこそ、こんな風に俺を引き寄せたんだろ?」  体勢を崩しかけた穂高さんが慌ててベッドに片手をつき、転倒を何とか免れたんだけど、その瞬間掠めるように気持ちイイ部分に穂高さんのが当たって、どうにも堪らなくなった。 「もっと……もっと、激しくして、いいよ。ほらかさんっ」 「やれやれ……参ったな、本当に。媚薬とお酒の入った千秋を満足させるには、相当頑張らないといけないのは薄々気がついてはいたが、ここまでとは、ね」  俺の倍イかせてるのにと、クスクス笑いながら肩を揺すった。参ったと言ってるのに、それはそれは嬉しそうな顔をして。  だけと俺としては、この間が何とも言えない。まるで、焦らされてるようにしか感じられないからだ。身体の芯が熱膨張を続けるせいで、それを吐き出したくて堪らないのに、もどかしくて切ないよ。 「責任、ンンッ……とって、早く!」  強請る俺の言葉に、穂高さんの闇色の瞳がすっと細められ、ぞくっとする色香が漂ってきた。表情ひとつで人を魅了することのできるこの人は、根っからのホスト気質なんだなって思う。芸能人気質と表現していいかもしれない。  ただイケメンってだけじゃなく、ちょっとした動きに『華』があるから。  こうして肌を重ねたときに、顕著に現れる――ただ見ているだけなのに、舐めるように視線をゆっくりと動かしたり、耳元で囁かれるアブナイ会話だけでドギマギさせられるだけじゃなく、身体が勝手に熱を持ってしまうんだ。  今だって、ほら。俺が強請ったのにも関わらず、少ししか腰を動かしてくれない。俺だけひとりで、無駄に足掻いてるみたい。 「やっ……穂高さんっ、イジワルしないで、あぁっ……ね、ぉ、おねが、いっ」  自由の利く両手で穂高さんの首に絡みつき、自ら密着度を上げる。もっと繋がっていたい、奥深くに沈むように――俺の感じるトコを、強く擦りあげて欲しい。 「千秋、強請り方がまだまだ甘いよ。欲しいのは快感だけなのかい?」  きゅっと俺の下唇を柔らかく食んで、わざと答えにくくするなんて、本当にイジワルだな。 「ひがっ、ほりゃかさ、んっ」 「なんだい?」 「はぁっ……穂高さんの全部、ほしぃ……愛してっ、欲しいんだ、よ。包みこんで離さないでいて」 「包まれてるのは実際、俺の方なんだが。ほら」  腰を小刻みに上下しても、今の俺には冗談に付き合ってる余裕なんてないのに。  あんまりな態度に穂高さんの顔を睨み上げながら、首を横に振ってやった。 「ああ、済まない。千秋のも包まれたかったのか。随分と滑りが良さそうな状態だし、きっとすごく気持ちがいいだろうね」 「えっ!? ちょっ、まっ……」  俺が止める前にそれをぎゅっと握り締められてしまい、穂高さんを先にイかせたお礼返しといわんばかりに、責め立てられてしまった。穂高さんの身体全部を総動員させて、そりゃあもう――。 「これで足りないと言われたら、困ってしまうな」  なぁんて言ってくれたけど、もうお腹いっぱいに感じさせられました、はい。穂高さんの奥の手、凄すぎる……。

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