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急転直下7
身体の痺れから徐々に解放されていくと、穂高さんに咬まれる痛みをじわじわと感じた。愛おしくて切ない彼の想いが痛みとなって伝わってくることに、幸せを感じずにはいられない。
「……きて。俺のでいっぱい感じた穂高さんを見せてほしい。ぉ願い……」
途切れ途切れの掠れた声でやっと告げたら、ベッドに優しく横たわらせる。
「もう一度千秋をイカせてみたいが、快感に打ち震えてるコレが俺のを締めつけてきて、困ってしまう。どうすればいいだろうか?」
俺の両足を少しだけ持ち上げて、内壁を擦るようにゆっくりと動き始めた。ドライでイったばかりの身体だけどそんな緩やかな刺激でも、ぞくぞくしたものを感じずにはいられない。
「ぁっ、あっ、んんっ…穂高さんっ、気持ちい…っ…ああっ、も、もっと!」
あまりの気持ちよさで本音が口から出た途端に、パンパンと音が鳴るように打ちつける。
「うっ……君をイカせるまで……くぅっ、も、もつだろうか……」
そんなことを言いながらも俺をイカせるべく、激しい律動を止めようとせずに、時折眉根を寄せながら激しく責め続ける。その結果、押し上げてくるような快感のせいで、はち切れそうになった自身から、ぽたぽたと卑猥な雫を撒き散らしながら、喘ぐような呼吸をするしかなかった。
「あっ、あっあっあっ…穂高さんっ、すっ…好きぃ!」
愛してるって言いたかったのに、短い言葉しか出てこない。自分の中の想いを、ちゃんと伝えたかったのに。
「ん……千秋っ……俺も、だ」
眉根を寄せながら額から汗を滴らせて、短い言葉で返事をする穂高さん。きっと俺と同じなのかもしれないな。
「ほらかさんっ、うっ…い、いっしょに……はあっ、ああぁっ…イキたい、よ」
「分か…ってる。君の中に俺のをたくさんっ、注いであげる……から。一緒に――うっ!」
「んあぁっ!!」
腰をしならせて何度も痙攣しながらイクのとほぼ同時に、穂高さんも俺の足をぎゅっと抱きしめてイった。
一度イっているのにも関わらず、身体のあちこちに巻き散らかしてしまった自分の白濁の量に、すっごく呆れ果ててしまったのだけれど――快感が未だに駆け巡っているせいで、指一本すら動かせない。
「大丈夫かい、千秋?」
心配そうな顔して声をかけてきた穂高さんも、俺の足を抱きしめたまま動こうとしなかった。
「大丈夫、です……。穂高さんは?」
息も絶えだえにやっと答えると、首を横に振って苦笑いを浮かべる。
「大丈夫じゃない。気持ちよすぎて、腰が抜けてしまったよ。どうしてくれる?」
腰が抜けたと言った傍から、持っていた左足だけをベッドに解放して、右膝をひょいと肩にかけてきた。その瞬間、繋がったままの部分から、ぐちゅっという卑猥な音が聞こえたので慌てふためくしかない。
しかも、つーっと身体の上を流れていく自分が出した白濁を、黙っては見ていられなかった。
「ちょっ、ま、待って! 腰を動かす前に、これを拭きたいんだけど!!」
「……勿体ないから、舐めとっ――」
「こっ腰の動きを止めてください~っ。穂高さんがヤル気満々なのは、もう十二分に分かりましたから!」
かくてこの夜、下に敷いているタオルケットを、3回ほど交換するしかなかったのであった(交換と回数は、比例しておりませんのであしからず!)
明日というか今日の仕事がちゃんとできのるか、心配するしかない……。そんな熱い夜になったのでした。
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