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Final Stage 第5章:深窓の令嬢2

***  俺の献身的な付き添いのお蔭もあるだろう。と一応自負するが、千秋の持つ鋼並みの精神力の賜物と言えばいいのか。それとも自然治癒力の高さなのか、1週間くらい経った頃から、飛び起きることはなくなっていた。 『穂高さんが傍にいてくれたから、立ち直ることができたんだよ。ゴメンね、ずっと引き止めてしまって』  済まなそうに謝ってくれたのだが、激しく首を横に振ってやる。むしろ俺が勝手に、傍にくっついていたかっただけなのにな。 「いいんだよ。千秋が元気になって本当に良かった。これで安心して島に帰れる」  島に帰る――また離れ離れに、なってしまうんだね……。  無言で伝わってくる気持ちが、俺の胸を痛ませる。寂しげな笑みを浮かべた千秋を、迷うことなくその場に押し倒した。 「わわっ! ちょっ、穂高さんってば、いきなりっ?」 「年末は、こっちに帰ろうと考えてる。だから――」  床の上に横たわってる千秋の顔色が、あからさま過ぎるくらいに苦渋の表情に変わった。 「千秋?」 「ごめっ……。帰って来てくれるのは嬉しいんだけど、就活の件や島に移住することとか話をするために、実家に帰省しようと思ってて」 「あー、確かにそうだね。夏休みも帰っていなかったワケだし、年末に帰省するのは当然だと思う。俺のことは気にせず行って来るといい。もし何か説明が必要なら俺も顔を出すが、どうする?」  千秋の着ている、シャツのボタンをちゃっかり外しながら問いかけてみたら、抵抗せずに力なく首を横に振る。 「まずは自分の口で、きちんと説明するから大丈夫。でも、反対されるだろうから……。その時は既成事実を作って、外堀を埋めようと考えてるんだ」  その言葉に、ボタンを外す手が思わず止まってしまった。 (――既成事実を作る……どうやって?)  ……通常なら子どもを作ってしまえば、どんなに反対していても首を縦に振らざるおえない状況だ。俺と千秋の子どもなら、まず間違いなく可愛いに決まってる。  髪は俺似できっと栗色をしていて肌の色は白く、千秋のように目がくりっと大きくてバラ色のくちびるをしているだろう。名前は、秋穂(あきほ)や高秋(たかあき)、千穂(ちほ)なんていうのはどうだろうか。 ※ちなみにコレ全部を考えるのに、穂高氏は約5秒くらいかかっております(・∀・) 「穂高さん、どうしたの?」  ハッ!!Σ(ll゚Д゚ノ)ノ←思わず両手を上げるくらい、衝撃があったらしい 「きぃっ! き、既成事実というのが、引っかかってしまってね。何か、ビックリしてしまって……ふっ」  ところどころ、声を引っ繰り返しながら答えるしかない。  絶対にありえないことを考えてしまった自分にも、若干驚いた。これを言ってしまったら、間違いなく千秋にドン引きされてしまうだろう。  変な薄ら笑いを浮かべて視線を彷徨わせる俺に、首を傾げながらよいしょと起き上がる千秋。 「穂高さんが心配する必要はないよ。今回の帰省では、軽く話をしておく程度で終わらせるし、バイトも入ってるから長居をしない予定でいるんだ」  ニコニコしながら俺のスエットのズボンに、いきなり手をかけた。 「いぃっ! いきなりどうしたんだい、千秋?」  既成事実の件については口にしていないので大丈夫だと思うのに、俺のズボンを脱がしにかかる千秋が、ちょっとだけ怖い。上目遣いで見つめる瞳が、オスに見えるような気が――。  ――もしかして、俺を掘る気じゃないだろうか!? 「ちょっと待ってくれっ、ええっと、ついに千秋も挿れてみたくなったのかもしれないのだが、俺に突っ込んでも子どもはできないからね」  ∑(; ̄□ ̄A アセアセ  いつかこうなる日が来るかもと、心の片隅では考えていた。千秋だって男なんだ、中に挿れてみたくなったって、ちーっとも不思議じゃない。むしろ自然だと思う。  しかしながら、いきなりは困る。俺の心の準備やアッチを何とかしてみようという、自分でトライな勉強をすべく、やってみなければならないことがあるんだぞって、アルプスの山に叫ばなければならないんだ。  はじめはきっと辛いんだろうな。自慢のクララは、きっと勃たないと思われる←途中から意味不明になるくらい、錯乱している穂高氏 「……穂高さん、自分が何を言ってるのか、意味分かってる?」 ( ▽|||)サー  少しだけ腰を引き気味にしている状態のズボンを引っ張ったまま、心底呆れ返る千秋に何と説明していいのやら。 「意味って、そりゃ分かっているさ。同じ男として、それなりに」 「それなりって、まったく……。男同士だから、子どもは絶対にできないよ。穂高さんってば既成事実って言葉で、ありえない妄想をしたんでしょ?」  じと目をしながら尚も俺のズボンを下ろそうとする千秋に、必死に抵抗を試みた。この状態、いつもと逆である。 「そんなワケないだろう! ありえないんだから! ふたりの子どもなら絶対に可愛いとか、考えたりしてないぞ。それよりも千秋、さっきから随分と積極的だが、一体どうしたというんだ?」 「はぁ……。ふたりの子どもなら、可愛いという妄想していたんだね。穂高さんの想像力には恐れ入りました」 「恐れ入ったと言いつつも、ずっとズボンを脱がす手の力を抜かないのは、どういうことなんだろうか?」  掘られる可能性がまだ捨てきれないので、一応抵抗をしながら訊ねてみた。 「だって俺の体調が戻るまで、ずっと我慢してくれたでしょう? 恋人として労ってあげたいなって思うのは、当然かなって」 「千秋――」  頬を染め上げ、ちょっとだけ責める様な口調で告げられたせいで、すっと腕の力が抜けてしまう。そのせいで、下着と一緒にズボンが下ろされてしまった。 「あっ、待ってくれ」(*ノ∇)ゝハズカシイ 「……珍しいね、穂高さんの大きくなってない姿。体調でも悪いの?」  しげしげとそれを眺める千秋。いろんな恐怖と戦った結果とは絶対に言えまい。 「体調は悪くないのだがいつもより積極的な千秋に、ゾクゾクしているというか、ふっ……」  どんなにカッコつけたって、クララは勃ってはくれない。分かっていても格好つけてしまうのは、これ以上の醜態を避けるためなのである。 「俺、穂高さんのことを憧れてるって言ってたけど、その感情は風化しちゃったんだ」 「なっ、何だって!?」  一向に勃たないクララをじっと見つめながら告げられた言葉に、ショックを受けてしまった。  千秋には最初から格好悪いところばかり見せてしまった結果なのかもしれないが、もう取り返しがつかないのかもしれないな――。  涙ぐみそうになる俺の顔をわざわざ覗き込んでから、触れるだけの口づけをする。そして俺自身を手に取り、ふわりと柔らかい笑みを浮かべた。 「憧れよりも、全部が愛おしくて堪らないんだよ。そのままの貴方がすごく大好き。それに大きくないということは、いつもより咥えられるでしょう? だから……はむっ!」 「うぅっ、ちあ、きぃ……」  いきなりはじまってしまった千秋のエッチな愛撫に、身悶えるしかなかったのである。

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