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Final Stage 第6章:恋の炎は心の芯に灯し続ける4

*** 『ええが? 何としてでも、おとーとの緊張さ、兄貴として解してやらねぇとならんからな! 絶対に余計なことを考えさせちゃならんぞ!』  という船長の指示のもと、今夜の仕事を大手を振って休むことができた。 「緊張を解すということは、リラックスさせればいいだけの話だ。俺の得意分野じゃないか」  内心ほくそ笑みを浮かべる俺の前で、いそいそと指輪を嵌めてくれた千秋。指輪を隠さなければならないのは、まるで俺たちの関係のようだ――。  何となく切なくなってしまって後ろから千秋をぎゅっと抱きしめながら、左手薬指の爪先にキスを落してやる。 「どうしたの穂高さん?」 「毎回ポケットに入れてたら、いつの間にか無くしてしまうかもなと思ってね。ちょっと待っていてくれ」  名残惜しい気持ちを抱えて千秋から手を放し、小物を入れてる引き出しを開けて、使っていないアクセサリーを引っ張り出してみた。  千秋に似合いそうなシルバーのネックレスを本人の首に付けてみて、長さや雰囲気を確認する。細くて華奢な作りのチェーンが似合っていたので、その手に握らせた。 「島にいる間は、それに指輪を通して使うといい。無くさなくて済むだろう?」 「ありがとう。大事に使うね、すっごく嬉しい」 「いや……。本当は俺も指輪を外すべきなんだろうけど。どうにも君のような、配慮ができなくて」  嵌めている指輪をくるくる回しながら告げると、ふわりと微笑んだ千秋。 「だけどこうやって俺だけ配慮してくれるの、なにげに嬉しいんだよ。穂高さんの特別って感じで」  頬を染め上げて告げられる言葉に喜んで顔を寄せたら、くちびるをいきなり手で塞がれてしまった。 「あの、コッチの配慮もお願いしていいかな?」 「コッチ?」 「そう、今夜はナシでお願いしたいなって。明日の試験に響いちゃうから」  ( ̄□ ̄;( ̄□ ̄|( ̄□ ̄||( ̄□||||ガガガーン!!←ショックの模様が分かりやす過ぎる件 「最近の穂高さん、滅茶苦茶っていう言葉が似合うくらい激しくて……。その――」 「そっ、それは君が何度もイクから、嬉しくてつい!」  ドライなイキ方を覚えた千秋の躰は、イった後もその余韻を引きずっているのか直ぐに感じ始めて、またイクを繰り返す。ビクンビクンと自身を小刻みに締め上げられるたびに、そりゃもう気持ちいいんだ。  しかしながら未だにどっちのイクなのかまったく区別が付かないため、絶賛研究中だったりする――千秋本人も実際にイってみないと分からないとかで、その謎を解明すべく頑張ってしまうというワケ。 「残念ついでに、お知らせがもうひとつ。明日の試験が終わったら、午後の便で帰りますから」 「何だって!? Σ(||゚Д゚||)」  久しぶりに再会した恋人との逢瀬が、蛇の生殺しで終わってしまうじゃないか! もっ勿論、千秋の身体だけが目的じゃないのだが離れていた分、あんなコトやこんなことをして、イチャイチャしたいだろ!  もしかして――( ̄Д ̄;;アウアウ (激しすぎるHに堪えられなくなり、避けられている可能性があるかも?) 「藤田さんが紹介してくれたスーパーで、胃腸炎が流行っていてね。人手が足りないから出てくれないかって、頼まれてしまったんだ。せっかく逢えたのに、トンボ帰りしちゃってゴメンね、穂高さん」  義兄さんってばこんなところで、俺たちの仲の邪魔をするとは。相変わらず、意地の悪い人だ←あまりの事態に逆恨み 「それはしょうがないね。しょうがなぃ……」  ジーッ (@ ̄_ ̄) ・・・・・ 「……あの、穂高さん。もの欲しそうな目で見つめるの、止めてほしいんだけど」 「そんな目で、見つめるワケがないじゃないか。普通に見てしまったら、今直ぐに押し倒してしまう恐れがあるから、目を細めて千秋を見る範囲を狭めているだけなのだが」 「その目が、めっちゃもの欲しそうにしか見えないっていうのに。つらすぎる……」  頭を抱えて小さくなった千秋を相変わらず、もの欲しそうな目で見つめ続ける穂高。この苦難はどこまで堪えられるのでしょうか――。

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