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残り火本編第一章 火種18
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「あっ、あのですね、その。……股間のモノのお仕置きについてなんですけど」
レストランを出てすぐに、言わなければならないことを指摘しようと、思いきって話しかけてみた。
「何だい、改まって。頬を染めながら必死に何かを伝えようとするその姿、今すぐにでも押し倒したいね」
「押し倒さないでくださいっ!」
「じゃあ百歩譲って、そこの塀で壁ドンしてキスするのは、どうだろうか?」
「思いっきり人目があるので、どれも止めてくださいっ」
困り果てながら穂高さんを見上げると、どこかワクワクしている表情を浮かべていた。何だかこの状況を、個人的にすごく楽しんでいるみたいだ――
……俺としては、何とかしたいというのに。
「そんなに難しい顔して、眉間にシワを寄せていたら、老け込んでしまうよ。よしよし……」
俺をなだめる様に、頭を撫でられる始末。――ああ、もう。
「股間のモノのお仕置きについてなら、心配いらない。ソフトにするから」
ソフトにするって、一体どうやってソフトにするんだよ。想像力のない自分は、それが何かが分からない。頭から煙が出そうだ。
「すみませんが、ソフトもハードも俺はもう無理っていうか」
撫でられている手を退けながら告げると、そうかと頷いた。
「君は淡泊なんだな。残念」
「やっ、俺は普通だと思いますよぅ。穂高さんが変なんです」
「変じゃない。千秋に対する愛情表現だから」
俺に睨みながら言われても何のその。それがどうしたっていう感じだ。
「だけど一晩で、あんな回数。――っ」
「本当は朝までしたかったんだが。君がもちそうになかったから、一応配慮したんだよ」
「はい――!?」
この人、どんだけ……。呆れて言葉が出なくなっちゃった。
「もっと擦り合って搾り取ったり、アレやコレをしたかったんだが」
「だだだだっ……」
「だだだって、機関銃? 連続で打ち続けてほしかったのかい? そうか中身がっ、ふっ!」
思わず穂高さんの口を手で塞いでしまった。どうしてこの人は、何でもアレに結び付けてしまうんだろう。
「お願いですから、もう俺は無理ですので打ち止めってことで、ヨロシクお願いしたいんですが」
何でこんなことに、息を切らさなきゃならないのやら。心臓がさっきから、バクバクしっぱなしだ。
「分かった、じゃあこうしよう。俺が千秋にマッサージする。疲れた身体を癒してあげよう」
「しなくていいです! 大丈夫ですから」
「職場では、ゴッドハンドと言われているんだよ。上司にしてあげたら、すぐに寝てしまうレベルなんだ」
口に当てている俺の手をぎゅっと握りしめ、善は急げと言わんばかりに、引っ張るように歩き出した。
「いえいえ、結構です!」
「分かった。それなら股間のモノに、ソフトなマッサージを」
「がーっ! 分かりましたよ、普通のマッサージでお願いしますっ」
結局俺には選択権がなく、普通のマッサージをお願いしたのだけれど――
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