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残り火本編第一章 火種22
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「……んっ、……はあぁはぁ、ひっ……」
心ごと身体ごと、求めずにはいられない。肌を重ねる毎に穂高さんを好きになる。
穂高さんの家に入るなり後ろから抱きすくめられ、息つく暇もなくはじまってしまった。今は俺が上になり、感じてもらえるように動いてる最中だったりする。
電気を消してほしかったのに、あえてつけっ放しにして、その様子を下からじーっと見つめられる状態は、かなり恥ずかしい。
「車の中で見せてくれた、恥らう顔もいいが、こうやってる姿もいいよ、千秋」
ちょっとだけ起き上がり、腰に両手を添える。腰からなぞるように大腿骨を触れてから、太ももをゆっくりと撫でてきた。ちょっとした加減で触れる指先に、身体が反応して、ビクビクッとなってしまう。
「細い腰がしなる度に俺のを締めつけて、イかされそうになるよ。どうしてくれるんだい?」
「っん、……そんな、こと。……はあっあぁ、……言われて、も……」
(感じさせたい、もっともっと。好きになってもらいたい)
「頑張った千秋に、ご褒美をあげようか」
完全に起き上がって、ぎゅっと身体を抱きしめてきた、穂高さんの熱が心地いい。ずっとこの腕の中にいたいよ。
俺が腕を回して抱きしめ返すと、くるりと簡単に体勢が入れ代わる。荒々しく押し倒されたので、ベッドのスプリングで身体が跳ねてしまった。
いつもは優しくしてくれるのに、突然の荒々しい行為に、目を白黒させるしかない。そんな俺に艶っぽい笑みを浮かべて、意味深に見下ろしてきた。
――この表情は、容赦なく……
「千秋、もっと感じさせてあげる。善がり啼いてごらん」
ヤバイと思ったときには既に遅くて、腰を掴んだ両手を使い、俺を上下に動かした。体重の軽い自分を、いとも簡単に操られ、抵抗する間がない。
穂高さんが動くとき、足に力を入れて微調整をしていたのに、俺を無力化して、それらをさせてくれないということは――
「やめっ、……まだ、イきた、……くないっ、……ひっ、ああ、ぁあっ!」
まだ、穂高さんと繋がっていたいのに。イくなら一緒にイきたいというのに、この人は。
「可愛いね、千秋。いいんだよ、遠慮せずにイってくれ。その顔が見たいんだから……」
腰を仰け反らせながら、何度か痙攣してイった俺の身体を、息が止まるくらいぎゅっと抱きしめた穂高さん。
「俺ので、そんなに感じてくれて嬉しいよ」
「あぁ、……ぅっ、穂高さん……」
大きな背中に腕を回して、俺も抱きしめ返す。イった後で上手く力が入らなかったけど、指先を肌にめり込ませて、穂高さんを必死に引き寄せた。
「千秋、……好きだよ。キレイな君の中に、ずっといたい――」
「んっ、俺、も。……っ、ンンっ!」
強引に塞がれてしまった俺の想いを、穂高さんが飲み込むようにくちづけてくれる。そして身体に、強い衝撃が打ちつけられるたびに、それが返されているように感じた。
もっともっと、俺で感じてほしい。
「はあぁっ、……ほだ、かさ、……っ」
呼吸を奪うような苦しいキスだったのに、まだまだ足りない。
離れていく穂高さんの顔を名残惜しげに見つめたら、ふっと笑って顔を寄せてくれた。
「おねだり上手になったね。だから止められない――」
そんな目をして惑わすなんて。……と、くちびるの先まで近づいてから、わざわざ呟いて、貪るようなキスをする。
(――どんどん惑わせたい、困らせてみたい)
更に激しくなる律動に、身体が更に熱くなっていく。
「も、……もっとっ、……穂高さんのっ。……ちょうだ、いっ」
気持ちの高ぶりと身体がリンクして、普段なら絶対に言えない言葉が、口から出てしまった。
その言葉にちょっとだけ目を見開いて、じっと俺を見つめてから、優しく頭を撫でてくれる。何度も何度も……
「表現してもしきれない想いを、どうすればいいんだろうな。こんなことをしても、伝えきれなっ、……いんだ、よ」
腰をぐいっと持ち上げられて、更に奥を突いてきた。
「ひっ、……あ、ぁあっ、穂高さんっ!」
一緒に俺のも弄りながら、容赦なく突きまくる。
ふっと右手を上げると、力強く握りしめてきた、あたたかい穂高さんの手。中も外も擦られて、頭の芯がジリジリしてくる。さっきイったばかりなのに、身体全部で穂高さんを求めてる。
――もっと触ってほしい――
「ちっ、千秋、千秋愛してる。……どうにか、っなりそうなくらい、……も、君っ、を、愛して、……くっ」
握りしめられてる手が痛いくらいに、指が食い込んだ。だけどその痛みさえ、甘い疼きに変わる。
「穂高さん。……俺、もぅ、……ん、んっ!」
負けじと、握られている手を握り返す。
身体のあちこちから抱かれてる幸せとか充実感を感じ、ふっと目を閉じた。
その瞬間を待ってましたと、間髪おかずに、触れるだけの優しいキスを落とす穂高さん。
「ほ、……だかさ」
掠れた自分の声に、改めて乱れてしまったのを思い知る。
「明日も早いんだし、お風呂に入って寝ようか」
俺の顔を覗きこんで、まじまじと見てから、うーんと唸った。
「な、……何でしょうか?」
「千秋の潤んだ瞳が、俺を煽ってるようにしか見えないなって。しかも今日はいつもより、感度がいいみたいだし、ね――」
挿れたままの穂高さんのを、一度だけ上下させてからゆっくりと引き抜き、意味深に笑いながら上半身と膝裏に腕を差し込んで、俺の身体を持ち上げる。
「なっ、なにっ!?」
覗き込んできた視線が、扇情的に細められていて、ドキドキするしかない。
「……早く寝かせてやりたいけど、千秋のせいで、それが無理そうだなと思ったんだ」
嬉しそうに声をあげて笑い、浴室に連れて行く。いつも通りというか、安定の二度目がそこで行われ――
疲れきった俺はベッドに戻ると、すぐに寝息を立ててしまったのである。
隣にいる穂高さんのぬくもりが安心できて、抱きつくように眠りについた――
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