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繋がる空12

「風邪引いて辛そうなのに、まったく・・」 呆れられてもいい。あきがどんな思いで生きてるのか知れたらそれでいい。こんなチャンスは滅多とないんだから身体が辛くてもあきに会いたかった。 俺のことちゃんと想ってくれてる。他の誰かに癒しを求めることはしなかった。それが堪らなく嬉しかった。 抱きしめたあきは少し痩せた気がして俺がいなくちゃ食事だって疎かになってるんだろうって胸が苦しくなる。 俺達はやっぱり一緒にいなくちゃいけない。あきに触れて暮らしたい。 自分のわがままで夢を追いかけたのに、大切にしたいものを出来ないのはやるせない。 「家に寄ってかないの?あきら君相当参ってるじゃん。癒してやりなよ。七井さんもあきら君に癒されてきたほうがいんじゃないの?」 それが出来たらここでこんなことはしていない。 あきに触れていられた限られた時間で俺は十分癒されたし満たされた。 あきだって・・・帰る間際に見せた笑顔はどこか吹っ切れたようにも見えた。 心の中に溜まったものを少しは吐き出せたと思いたい。 だって。いつも俺にだけ見せてくれる優しい目。愛してるってちゃんと伝わった。 「合えば離したくなくなるからまだ帰れない。あきも頑張ってるから俺も頑張りますよ」 はぁぁっとこれ見よがしに大きな溜息をつく。 「まあね。あきら君と七井さんには女装姿の写メ送っといたんで。いつかバラす時にでも使ってください」 いつのまにかそんな写メを撮ったのか。まあお世話になったし・・・いいか。 不本意だけど、いつか今日の話をする時が来たら。今日みたいに思い出話にしてもいい。 「それにしても綺麗に化けたよね。どうみても女だったし艶っぽかった。あきら君が落ちないのが不思議なぐらいだよ」 「一応美容師なんでメイクは専門ですから。それにあき、最初は俺だと思ってましたから。ここに俺が居るわけがない、他人の空似だと思い込んだ。この女に俺を重ねてた辺りある意味落ちてますよ」 あきはどこに居たって俺を好きになる。俺に似ているだけで心が騒いでた。そして俺に似た女に気を緩めた。 それだけ俺に飢えていたのが愛おしくて思わず抱きしめてしまったんだから。 歪んだ想いに化けてしまった俺の気持ち。 でも・・・今、会うわけにはいかないんだ。

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