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繋がる空13

「本当に2人ともよく似て頑固だよね。思うようにしたらいいけど。なんかあったら相談すること。俺は立会人なんだから」 そう言ってポンとテーブルに封筒を置いた。内田さんを見上げれば腕組みをしてドアにもたれかかってる。 「今日のギャラ。日払いで悪いけど」 ギャラ?! 「いりませんよ。俺が無理言ってお願いしたのに」 「それとこれとは別だよね。一応日雇いのキャストさんなんだし?今日の分は受け取って」 「内田さん・・・」 「いんだよ。お願いも相談もなんでも言ってよ。だけどあきら君を悲しませることだけはやめてほしいかな。俺は彼の信者だし」 いつのまにか信者になったのか。でも内田さんは最初からあきを好きだったんだもんな。 「ちゃんと話し合って今の状態なんで、悲しませてはないですよ。寂しがってるのはお互いなんで。もう俺も限界がきてるから・・・なんらかの方法を考えます」 「方法ね・・・」 「・・・またお願いするかもです」 クスクスと穏やかに笑う。 「俺の出来ることならなんでも。お店いい感じなんだってね。うちの会社ご贔屓頂いてありがとうございます」 色んな顔を持つ内田さんがここ数年で見えてきた。大きな会社の息子だったことも、親父さんがカタギじゃないことも。 双子の弟さんが跡を継がれていて、ずっと片思いしてた叶多さんと2人の息子さんと住み始めたことも。 時折見せてくれる穏やかな表情は出会った頃は見たことがなかった。 あきを諦めてくれたことに安堵したのに、本命がいたことに驚いた。謎が多い内田さんが俺達だけに見せてくれるもの。 それはあきも俺もすごく嬉しくて築いてきた信頼関係からなんだと思ってる。

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